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「 」

作者: のんP

これはのんPの楽曲「 」がモデルになってます。



モデル曲


「 」

作詞・作曲 のんP

ボーカル 初音ミク





誰か隣にいた気がする

今も耳に残る懐かしい名もない歌

思い出せない

でもこうしていると何だか懐かしいんだ

一緒にこの星を見た気がする






嫌気が差すような暑さ、人の迷惑も考えない蝉の聲が僕の引きこもり精神に拍車をかけた



特にやりたい事なんて無いし人生の目標?そんな事も考えたことない


そんな毎日を過ごしながらこのまま歳をとって死んでいくと思っていた


そんな時親父の仕事の都合で親父の実家に引っ越す事になった


もちろん乗り気じゃなかった

あんな田舎になんて行きたくない


でもろくに働かず親の脛を齧って生活してる俺には選択肢は与えられる訳もなく僕はついて行った


子供の頃は親父の実家がすごく好きで夏休みや年末年始に行くのがすごく楽しみで特に山の上から見える星空は格別だった


そんなことを不意に思い出した俺は


「久しぶり見に行くか」


星を見に行くことにした


虫除けスプレーを全身にふりペットボトルのお茶と懐中電灯を持って家を出た


途中の田んぼ道、大きな桜が生えてる公園、良く肝試しをしたお墓、何もかも子供の頃のままでちょっと嬉しくなり心做しか足取りも弾んでいた


街灯一つ無い山道を懐中電灯片手に歩いてると目的地近くでどこからともなく女性の歌声が聞こえてきた


「はっ?夜中だぞ…まさか幽霊とか…?」


少し怖くなって引き返そうと思ったが少し気になった?というか好奇心に負けて隠れて覗いて見た


「だーれ?懐中電灯の光丸見えだぞ〜!」


「えっ、あっ!?」


「普通こんな夜中に懐中電灯つけたまま隠れる人がいる〜?丸わかりだよ!」


何を考えてたのか僕は懐中電灯の光を消さずに隠れてたのですぐに見つかってしまったが幽霊じゃなくてちゃんと人間だったことに少し安堵した


「あなたも星見に来たの?」


「え、あっ、はい」


僕はその問いに反射的に頷いてしまった


「この穴場を知ってるとはなかなかやるな〜!」


「子供頃父に連れられて良く来てたので」


「ここの生まれなの?」


「いえ違います、都心の方にいたのですが父の仕事の関係で父の実家あるこっちに越してきました、今までは子供の頃夏休みとか年末年始に来る程度でした」


「ふ〜ん、ねぇ!いつまでもそっちに居ないでこっちで一緒星見よ!!」


「あ、はい」


「もーーー!早く!」

そう言うと彼女は強引に俺の手を引いた


「えっ、ちょっ待っ」


「ほら!見て!」


彼女が指さした先には溢れんばかりの星空があった、思わず息を飲む僕に彼女は


「ねぇ!明日もここで一緒に星見ようよ!!どうせ暇でしょ!」


「ま…まぁ暇ですけど…」


確かに暇だけどいざ言われると少しムカッとした自分がいたがそんなこととは裏腹に


「じゃあ決まり!明日もこの時間に待ち合わせね!!じゃあ私今日は帰るねー!」

そう言うと彼女は山道を帰って行った


「久しぶりに家族以外と話したな…てかあの人懐中電灯も持ってなかったけど大丈夫か?まぁ明日もどうせ暇だし来るか」


それが彼女との出会いだったそれから僕達は天候に恵まれない日意外ほとんど毎日会っていた、僕も次第に打ち解けていき気兼ねなく話せるようになり、そうしていくうちに僕は彼女の事をもっと知りたいと思った


「いつも歌ってるその歌なに?」


「私のオリジナルソングだよ!えっへん!」


彼女は会う度に歌を歌っていた、歌詞は無いがどこか物悲しいメロディだけど不思議と心が落ち着いて好きだ


「ねぇ、いつも夜ここでしか合わないけど今度普通に昼間飯でも食べに行かない?」


前の僕だったら考えられない発言だが勇気を振り絞って食事に誘った


「おやおや〜それはデートのお誘いかな〜?」


「そうって言ったら?」


そう言うと彼女は少し照れた様子を見せて僕に背を向け


「う〜ん、考えておくね!そろそろ帰らないと!また明日!」


彼女は顔も見せず山を降りていった

その日以降彼女が姿を見せることはなかった

僕の誘いが嫌だったのか?体調でも崩したんじゃ無いか?家族に何かあったんじゃないか?色々な事を考え心配になっていた

確認しようにも考えて見れば彼女の家も名前も何もかも知らないじゃないか

人口も多くないこの田舎、村全体で顔見知りみたいな物だと思い両親や祖父母が何かを知ってるんじゃないかと聞いても空振り

そんな彼女の存在を誰も知らなかった

僕は途方に来れながらももしかしたら居るのではないかと毎日あの場所へ行っていた


「今日は早く来すぎたな」


いつもは夜日が完全に落ちた頃行っていたがその日は何故かひぐらしが鳴く夕暮れ時あの場所にいた


「夕日もすごく綺麗だな…一緒に見たいな…まぁどうせ来ないだろ、もう帰ろう」


帰ろうとした時僕が彼女と始めて会った時隠れてた場所に小さなお墓のような石があるのに気がついた


「こんなものあったっけ?」


長年放置されていたのか誰も手入れをしてない様子だった


「それね、私のなんだ」


その声に思わず振り向くとそこには彼女がいた

でもいつもの元気な彼女とはどこか違う


「どこにいたんだよ!すげー探したんだぞ」


「いつもここに居たよ、君が毎日来てくれてたのも知ってる、いつも隣で星一緒に見てたから」


僕は何を言ってるのか少しも理解できなかった


「隠れてたの…か?」


困惑してる僕を見て悲しそうな顔する彼女は


「うんん、いつも隣に居たよ、でもねもう私の声も姿も君に届いてなかったんだ、だから最後に私の気持ち伝えるために神様にいっぱいいっぱいお願いしたんだ」


言ってる意味が分からなかった僕は彼女が姿を見せなくなってから毎晩来ていたが確かに僕1人だった、あの歌を歌いながら

そう思い出していると彼女が近づいてきて僕を抱きしめた


「大好きだよありがとう」


泣いている彼女を抱きしめようとしたがその時には彼女はもう居なかった

というか彼女って誰だ?僕は何でこんな所に突っ立ってるんだ?


「腹減ったな…帰るか」


家に着く頃には日が落ちすっかり暗くなって夕食が出来ていた

夕食を食べながら何気なく見てたニュースによると今日は流星群が降るらしい

子供の頃は良く親父に星を連れて行って貰ってた

そんなことを不意に思い出した俺は


「久しぶり見に行くか」


星を見に行くことにした


虫除けスプレーを全身にふりペットボトルのお茶と懐中電灯を持って家を出た


「ふぅー着いた着いた」


目の前には満点の星空が広がっていた

何かが足りない気がした

でも何が足りないのか分からない

そうモヤモヤしてたら空に沢山の流れ星が流れ思わず声が出た


「すげー綺麗だな」


「そうだね!」


「えっ?」


空耳だろうか誰かが返事をしてきた気がした

どこか聞き覚えのある温かい声だ

そうしてると不意に頭に歌が浮かんできた

どこで覚えたのかも聞いたのかも思い出せないけどこの歌が好きなのだけは覚えてる

僕は口ずさみながらまた空を見上げる

まるで見えない誰かと寄り添うように








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