前へ目次 次へ 35/40 始まりの兆し 葉も花も 一切の装いを脱ぎ捨てた 木々の合間を抜け 早く花の季節が来ないかと 夢を見る 幼い頃 圧倒的に心を満たしたはずの桜は 今や梅にその場を明け渡しつつある 誰よりも先にと 急ぎ春を告げる白や紅に黄 最初は ひっそり 密やか 秘めやかに けれどいつしか 華々しく寒空へ咲き誇り ふわり 高貴な香を辺りに漂わせる 冬は終わりの兆しを 見せぬも もう何処かで 咲き始めたろうか まだ見ぬ艶やかな 姿を想い描きながら 今日も期待を胸に 寂しい並木道を行く