【コント】勇者パーティを追放された最強の村人
村人:ボケ 勇者:ツッコミ
※勇者と村人がすれ違う。すれ違って数歩、勇者が振り返り村人に声をかける
勇者「おい、待てよ!」
村人「なんだよ?」
勇者「お前、俺たちのパーティーに戻ってくる気はないか?」
村人「悪いが、俺は既に新しいパーティーを組んでる」
勇者「お前、パーティー抜けてまだ3日だぞ!?」
村人「勇者パーティーを追放された村人の俺は、その後なんやかんやで覚醒し、既にあんたよりも強くなってる。俺が女の子だらけのパーティーを作っていたとしてもなんらおかしなことはないさ」
勇者「村人がパーティーを抜けて3日で勇者を超えてる時点でなんらおかしなことは起きてんだよ!その重要な過程を『なんやかんや』って説明で端折るな!ハーレム作んな!」
村人「男子3日会わざれば刮目してこれを見よ」
勇者「やかましいわ!刮目させたいなら戻ってこい!」
村人「よくもまぁそんなセリフが吐けたもんだ……
『やる気がないならパーティーを抜けろ』……そう言って俺をパーティーから追放したのは他でもない。あんたじゃないか」
勇者「普通さ?ああいうこと言ったら、後で俺の所に謝りにくると思うじゃん?そういう流れのはずじゃん!?
心を入れ替えてほしくてああいうこと言ったのに、心ではなく、パーティーを入れ替えてきてんじゃねぇよ!」
村人「最近の子はナイーブだ。パワハラ発言してくる会社を辞めるのは至極当然のこと。体育会系のノリは逆効果だと思え」
勇者「会社感覚で勇者パーティーを辞めるな!」
村人「会社も簡単に辞めていいもんじゃねぇだろ!」
勇者「正論だが、そのセリフをお前が言うな!
……なぁ、どうして俺がただの村人であるお前を勇者パーティーに招いたか分かるか?」
村人「雑用係が欲しかっただけだろ」
勇者「違う……お前がいずれ、パーティーの要になると思っていたからだ!
お前自身気付いてないようだったが、俺には一目で分かった……お前が、強大な力を宿していることが」
村人「ふぅ~ん……」
勇者「凄い他人事!……『ずっと前から俺の才能を見出してくれてたのか』とか、『恩をあだで返すような真似して申し訳ないな』とか思ったりしないの!?」
村人「まぁでも?結局のところその才能を開花させたのは俺自身なわけだし?
っていうか、勇者パーティーを抜けた途端に覚醒したってことは、勇者パーティーにいたせいで本来の力が発揮できていなかった可能性があるわけでぇ。逆にこっちが謝ってほしいくらいなんですけど?」
勇者「こいつ滅茶苦茶イキるじゃん!?勇者パーティー抜けて、覚醒して、ハーレム作りだした途端、滅茶苦茶イキりだすじゃん!?」
村人「あんたがどうしてもと言って土下座でもしてくれりゃあ俺も勇者パーティーに戻ることを考えてやらんでもなかったんだがな……残念だよ」
勇者「そうか。俺も残念だよ」
村人「え!土下座しねぇの!?」
勇者「絶対に戻るって言うなら土下座でもなんでもするよ?でもさ、戻ることを考えるだけなんだろ?そういう奴って絶対戻ってこないじゃん。こっちが土下座するだけした後に『戻るわけねぇだろバーカ!』って煽ってくるパターンの奴じゃん」
※村人、口笛を吹いて誤魔化す
勇者「図星じゃん!」
村人「戻るわけねぇだろバーカ!」
勇者「結局言ってきやがった!」
村人「あんなブラックなパーティーに戻る気なんてさらさらねぇ!」
勇者「ブラック?どこがだよ?」
村人「世界を救うためだのなんだのと言ってさ、毎日毎日魔王軍との戦いに付き合わされて……怪我はするわ、休みはないわ、給料は出ねぇわで、もう最悪だわ!」
勇者「俺、今割と理不尽な理由で怒られてない?勇者なんだから仕方なくない!?」
村人「金ぐらい、助けた奴らからぶんどれよ!恰好つけてんじゃねぇよ!こっちはなぁ、慈善事業でやってんじゃねぇんだよ!」
勇者「慈善事業でやってんだよ!」
村人「悪人であれよ!パーティーメンバー追放するような勇者は悪人であれ!」
勇者「追放してねぇから!お前が拗ねて出てっただけだから!」
村人「何かすげー底意地の悪いことしろ!それがバレて国王に怒られろ!民衆に石を投げつけられながら国を出ていけ!堕ちるとこまで堕ちて魔族と手を組め!そして最終的には俺に討伐されろ!」
勇者「お前は勇者に何てこと求めてんだ!」
村人(真面目口調)「ここまで俺に好き勝手言われておいて……説得を諦めて帰ろうとは思わないのか?」
勇者「お前を連れ戻すまでは帰れないさ……大切な仲間だからな」
村人「どういうわけかこの3日間、女の子たちといくらイチャイチャしても俺の心が晴れることはなかった……でも、今ならその理由がよくわかる」
※村人、勇者の胸の中に飛び込む
村人「俺は、あんたに構ってほしかっただけなんだな……俺は、あんたのことが好きだったんだ!
言ったよな?俺がパーティーに戻るなら土下座でも……『なんでもする』って」
勇者「勘弁してー!」