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クズと死神と女神のモノガタリ。  作者: オロチ丸W0632A
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第6話:黒菱自動車編5:阿久井殺害計画

 「さて、と。阿久井(あくい)の情報は……」

 

 俺は“家”に戻ると、もう一度阿久井の情報を確認する事にした。

 「黒菱(くろびし)自動車の製造部副部長。妻子はなく、横領した金はキャバクラで豪遊するのに使っている、か。全く、あんな所のどこが良いんだか、分からん」

 前に一度、キャバクラに忍び込んだときの事を思い出し、ついでに思い出したくない事も思い出し、全身に鳥肌が立った。

 「いくら何でも、二度と女装(あんなこと)はしたくねぇぞ。まぁ、今回は黒菱自動車本社で始末するか」

 後は、どうやって金を引き出すかだな。

 

 「今回は、俺の取り分も含めて、5,000万。なにせ、世界有数の自動車会社だ。阿久井(ヤツ)の地位も考えれば、それ位の金は取れるだろう。問題は、阿久井(ヤツ)を見捨てて黒菱がトカゲの尻尾(しっぽ)切りを図った場合だな。企業イメージも有るから、素直に金を出してくれるだろうが、逆に、阿久井(ヤツ)懲戒(ちょうかい)免職(めんしょく)なりなんなりしてくる可能性もある。さて、本社の図面は、っと」

 俺は、明後日(あさって)の本社潜入に備え、モグラより買った情報を再確認する。

 

 資料を確認していて、白雲(しらくも)優幸(やさき)の写真が目に入った。

 何故だか、胸の奥が熱くなる。

 「この()、髪や目の色は違うけど、お袋の若い頃の写真に、似てるんだよな。だから、なんだろう」

 俺はそう結論付けると、頭に入れた図面が間違っていないか、再確認することにした。

 

 

 

 前夜。

 

 俺は、強化服『デスサイズ』の点検をしていた。

 黒沢(くろさわ)恵之助(けいのすけ)より託された、悪人の命を刈る死の鎌。

 

 俺の思考を読み取って、自由自在に動くワイヤー。あちこちから出す事ができて、もちろん、特殊な素材で出来ている。正確には、ロボットに分類されるのだろう。コレを使えば、ビル街を飛び回る事ができる。

 小型ながらも、高性能なコンピューター。水鳥(みどり)が作ってくれた、セキュリティーを突破するためのプログラムを動かすには、必要なモノだ。

 他にも、力を増幅したり、防弾機能があったり、色々有る。

 

 恵之助が、俺に託した思い、そして願い。

 この“死神”が、現実のものにしてみせる。

 このクズだらけの世界を、変えてやるよ。

 俺なら、『デスサイズ』なら、それが出来る筈だ。

 天才・恵之助が、作ったモノなのだから。

 

 

 

 「社長、わざわざお越しにならなくとも、こちらから参りましたのに」

 「社長室では話せないことなのだよ、阿久井君。ここでも話せない事なのでな、第4会議室まで付いてきてくれたまえ」

 

 社長の後を付いていきながら、俺は考えた。

 第4会議室――防音加工されており、この部屋だけは、防犯カメラも部屋側から切ることが出来るようになっている。

 普通の会議室としても使えるが、会議室として使う場合は、幹部クラスの最重要会議に使われる。

 製造部副部長の俺に考えられるのは、その目的で使われることは滅多(めった)にない方なのだろうか。

 マズイ、“あの事”がバレたのだとすると、俺は終わりだ!

 第4会議室に着くまでの間、そして社長が防犯カメラを切り、こう告げるまでの間、俺は死刑執行を待つ、死刑囚のような気分だった。

 

 「阿久井君、これはまだオフレコなのだが、ワシは次の人事異動で、君を部長に昇進させようと思っておるんだよ。引き受けてくれるかね?」

 

 地獄から天国に出たような、そんな気持ちになる。

 私でよろしければ、お引き受けいたします。そう、即答したのは、言うまでもない事だった。

風邪を引いてしまい、今日は外出できないので、昼でも更新します。

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