パソコンを一回開くごとに妹が一人増えるバク…を見つけたのだが…
『異世界に転生されて、俺が成長したら、魔王を倒しにいくようですよ?』を連載中です!
俺には、妹が一人いた。そう、今思えば平和な日常だった。うん…平和…先月までだがな!!
時は遡り、2ヶ月前、俺は実家の近くの高校を卒業して、田舎の実家から離れ、都会にある会社で働いていた。いわゆる高卒と言うやつだ。新卒よりは、早く働いてお給料と努力して地位を貰えるのだが、数年後にはお給料と、今まで培ってきた地位が逆転してしまうのだ。
そう…高卒は悲しいんだ…
いやいや、別に高卒のその後ことや、批判とかこれから話そうとしているのではない。本題はここからだ。
俺は1ヶ月働いて、努力して稼いだお給料が銀行に振り込まれたことを確認する為に銀行に行った。
「手取りが、16万か…まぁ、生活切り詰めればパソコン買えるか…」
俺は前から自分のパソコンが欲しかった。何故かだって?ゲームをするために決まっているだろう。だから、初めて貰ったお給料は絶対安くてもパソコンを買うと決めていたので、すぐさま、お金を握りしめてパソコンを買いに行った。
そして、ずらっと並んだパソコンを見ていく。
「すみません、この中で一番安くて、機能性がいいパソコンってありますか?」
と俺がダメ元で店員に尋ねると、
「このパソコンが一番安くて、機能性も高いですよ??」
そう言われたので、値段を見てみると6万。案外言ってみるものだな…
「じゃあ、それをください」
と俺が言うと、すぐに準備に取りかかってくれた。
面倒くさい手続きを終えて、物が散乱している狭い自分の部屋に帰ってきて早速パソコンを立ち上げた。
立ち上げると、
Q1、妹はいますか?
YES or NO
Q2 妹が欲しいですか?
YES or NO
と言う意味のわからない質問が出てきた。俺は何も疑わず、そのまま質問に答えて、YESをクリックした。その後、パスワード入力をして、ホーム画面にいくと…銀髪の可愛い女の子が現れ、「お兄ちゃん、私たちにどうして欲しい?」と言う音声が流れた。凄い、高性能だな。その答えに俺はつい、
「お兄ちゃんは、君たち過ごしたいよ」
とボソっと本音を言ってしまった。恥ずかしくなり、俯いてしまった。その時だった、「うんしょ、うんしょ、狭いなぁ…」との声が聞こえてきた。慌てて画面に目をやると、女の子が画面上から出てきた。
びびった俺は急いで、電源を落とそうとするが、女の子の手によって止められる。しかも、画面が壊れていない。俺は後ろに後退すると、女の子が出てきた。
「はぁ、スッキリした!」
「……………」
俺は夢だと思って必死に自分を呼び起そうとするが、無理だった…落ち着いたのは、1時間後だった。そして、パソコンの電源を落とす。
「…どうやって出たんだ?とゆうか、もう出てこないよな?」
「え?分かんないけど、まだ、出てくるよ?」
「えっ…あと何人…?」
「えっとね、そう言うものじゃないんだよ。パソコンを一回立ち上げると1人出てくるんだよ?」
などと、ふざけたことを言ってきた。俺は気を失いそうになる。実は来週、商品のプレゼンテーションがあるので、家で資料をパソコンで作らないといけない。だから…最低でも、7人は出てくる。
そして、諦めた俺は、義妹に食事を与え、寝床も与えた。
翌日、仕事から帰ると、パソコンを立ち上げる。立ち上げた瞬間に、金髪の女の子が出てきた。とりあえず、その子にも食事や寝床を与え、俺は作業をする。銀髪の女の子と、金髪の女の子は楽しく会話してた。
更に翌日、パソコンを立ち上げる。またもや、立ち上げた瞬間に、女の子が出てくる。俺はもう諦めた…
そして、1週間が経ち、義妹が7人になった。もう、俺の家は凄いことになっている。具体的には、寝る場所が狭い、冷蔵庫が空になるなどだ。俺は無茶振りで提案してみる。
「なぁ、お前らスライムみたいに合体して、1体にならないのか?」
と、
「それは無理ですよ!」
と銀髪の女の子に当たり前なことを言われてしまった。
だが、彼女達と暮らして初めて分かったことがある。それは、出てきた順に年齢が高いと言うことだった。
そんなことは、どうでもいい。どうやったら、義妹がパソコンの画面上から出てこなくなることだ。よし!聞いてみよう!
「教えて欲しいことがあるんだが、パソコンを立ち上げた時、どうやったら出てこなくなるんだ?」
「その事なんだけど…パソコンがバグってる見たい!私も、急に画面に吸い込まれて、この状態なんだけど…」
バグってる?って、ことは業者に頼んで見てもらうしかないのか?いや、そんな事をしたら確実に俺が訴えられる!
でも、壊すと言ってもパソコンはこれしか無いから仕事に支障が出る。そういえば、壊したらこの子たちに支障が出るのか?
「このパソコン壊したら君達はどうなるの?」
と一応聞いてみる。
「どうにもならないよ〜?」
と他の子たちとトランプをしながら答える。
来月まで、辛抱すると言う手もあるが、これ以上人数が増えると…大変だ。特に、金銭の問題で。
だが、俺にはこの手しか残っていなかった。
そして、俺は仕事の為に毎日自分のパソコンを立ち上げるごとに女の子が画面上から現れる。もう…いい加減にしてくれ…
パソコンを買ってから1ヶ月、義妹が31人、実家にいる妹と合わせて妹が32人になった。最初に戻るが、1ヶ月前の生活をやり直したいと思う。
俺は今まで使っていたパソコンを売り、新しいパソコンを買った。家で、立ち上げ、パスワードを入力して、ホーム画面に移動すると、また、画面に女の子が現れ、吸い込まれるように、こちら側に来た。
は?どうなったんだ?これ…
自分の手元を見ると、エンターキーと、スペースキー、ホーム画面に戻るボタンを押していた。これが原因か?と思って全てのデータを消し、もう一度、何もキーを触らずに設定をしていく。そして、パスワードを入力すると、ホーム画面に行った。だが、女の子は現れなかった。
なるほど…こう言うことか…エンターキーと、スペースキー、ホーム画面に戻るボタンを同時に押すと女の子がこちら側に来るようだと分かった。
これで、分かった…別にパソコンは問題じゃ無かった。問題があったのは自分だったことに気づいた。
だから、俺はこの方法を生涯封印すると同時に、妹たちを育てて行く事を誓った。






