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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
69/75

へるぷみー!

 狼との距離は残り五十メートル。私は詠唱を始めた――。


 というところで夢は終わってしまった。ぱっちりと目が覚めてしまったのだ。というか、お姉ちゃんに起こされた。

 明晰夢とはこういうことを言うんだね。いや、ただ単に昔を思い出しただけ。夢ですらなかったのかもしれない。

 まあ、なんでも良いけど。でも、私は何の魔法を使おうとしたんだろうか。

 靄がかかったように思い出せない。効果はわかる。理論はわからないけど。

 それに、私はスピカと会ったことがあったっけ? 本当にこれは私の記憶? というか、そもそもスピカって誰?

 もしかしたら、何世代か前の私の記憶?

 でも、私がいたのは私の家の近く。それだけは間違えない。間違える筈がない。

 なら一体この夢は何なんだろう……!

 私は昔を思い出したわけじゃなかった……!?

 でも、私は七歳だった。

 そもそもって誰?

 今の成瀬恵那なるせえな? 此花恵那このはなえな? それとも何世代かしらないけど前の賢者(知らない人)

 でもっ! それでも! いくら記憶が薄れていても、何も思い出せないなんてないよねっ!

 それこそ記憶が書き換えられたのか。もしくは、未来を見ていたとか――?

 未来を見ていたってどうやって……? いや、待て待て。私は七歳だったのに、なんで未来になるの……?

 何なの? これは一体何なのっ!? 

 怖い。わからない。怖い。

 一体私はどうしちゃったの……?


「恵那? どうしたの? 朝よ?」


「……ぁ、あ、おはよう……」


 お姉ちゃんの言葉でちょっと冷静になったのかもしれない。私、混乱してた。よく考えたら、夢って、摩訶不思議だよね……。リアル過ぎたからつい本当にあった、なんて考えちゃって……。

 きっと私の妄想が夢になっただけだよね……?


「元気無いわね」


「うーん。変な夢見て……」


 よし! お姉ちゃんに全部話してしまおう! 解決する気がする!


「ふーん。どんな夢?」


「スピカって女の子がいて……」


「あんたの弟子の?」


 んんん?


「……そう」


 スピカは実在してたんだ。じゃあ、どうして忘れてたんだろ……。

 私は転生する探求者トランスマイグレーション・シーカー、通称賢者。物忘れしない筈なのに。


「魔法を教えてたの……対象以外を傷つけない魔法を」


「それって……あの秘技?」


「わかんない……」


 お姉ちゃんと話してたら余計に混乱してきたよ! 何でー! どうしてっ! どういうことなのっ!


 今の私の心境はこれだよ。


 へるぷみー!

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