five years ago(2)
スピカと修行を始める前に、お互いに自己紹介をすることにした。
「お姉ちゃんと世界各地を放浪し始めて一週間。まだ自分の住んでいた地域から出てません!」
スピカは妖精という種族らしい。簡単に言うと精霊と人間のハーフ。魔法適性がかなり高いことで有名。あと、体の成長が遅いことも。
見た目に反して六十年は生きているらしい。不思議だねぇ。
「この辺りに住んでたんだね。でも、いいの? お姉ちゃんは」
「お姉ちゃんは色々と忙しいのですっ! 凄腕冒険者なので、あちこちから助っ人要請が……私は足手まといなので、お留守番ですが……」
焦るようにスピカが言った。見放されるのではないか、そんな不安が見てとれる。
「そっか。よし! 練習するよ!」
「はいなのです!」
不安を消し去るぐらい明るく振る舞う私達。空元気でも、スピカは笑顔でいてほしい。そう思うのは私だけかな。
「まずは、精神統一、なにをしたいか頭の中に思い浮かべるの」
「はい! えっと。うーん。水! 沢山の水!」
スピカは両手を上に上げて空を見上げた。
まあ、なんということでしょう。軽自動車並みの大きさの水の塊が浮いているじゃありませんか!
いや、ちょっと言ってみたかっただけ。
でも、本当に大きな水を浮かせててビックリしたんだよね。
スピカも驚いてたみたいで、焦って魔力制御を疎かにしちゃったみたい。いや、もうびしょ濡れ。あっ、て思った時には遅かったね。
他に被害が出る前に消したからよかったけどさっ。
原因はスピカの適性が高過ぎたこと。マナが強かったこと。才能を持て余すってこう言うことだね。
対策として私が教えたのは呪文の詠唱。本来、詠唱なんてする必要もない。念じるだけで良いんだ。
でも、スピカの場合は、詠唱をして、必要以上に魔素に反応させない。
詠唱は型を決めてあるから、無駄なくスピーディーに魔法を使えるっていう利点がある。不意討ちなんかには向かないけど。
ケースに水を自動で素早く満タンにしてくれる感じ? で、それを狙った方向に飛ばす感じかな。ちなみに、スピカのは、ホースの先っちょを摘まんだ感じ。至る方向に飛ぶよ? 自分にもかかるよ? みたいな。
結局さ、感覚論なんだよ。だって、魔素とか見えないし、他の物質に左右されないし。本当にあるか知らないし。
人間が日頃から窒素を意識して生きているか、みたいな話だもん。気にもしなかったよ。これまで。
私は悪くない!
そんなこんなで波乱万丈な二人の修行生活は充実してたんだ。




