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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
64/75

親友

 ずっと泣き続けてる二人。私はどうすることもできずに、黙っていることにした。

 そうしていたら、落ち着いてきたのか、二人とも泣き止んだ。よかった。

 鼻を啜りながら、晴菜ちゃんが話し始めた。


「エナには、まだ話してなかったわよね。私達二人は妹であることに悩みを抱えてるの」


「それで、妹同盟ができたの」


 うん。過程をすっ飛ばしたね。いや、別にそんなに興味ないけど。

 人間触れられたくないことも沢山あるからね。私だって、あるよ?


「私は、ずっとお姉ちゃんと比べられて生きていたの。いつか、絶対に勝ってみせるって誓って。今回また、負けちゃったのよ」


「身長、体脂肪率、人望、知名度、成績、運動神経、全部比べてきたんだよね」


「ええ。一度も、一つも勝てなかったの。お母さん達も私は不良品だって……」


 なるほど、それでか。初めて会ったときに脆い感じがしたのは。コンプレックスが大きすぎたんだね。

 じゃあ、茜ちゃんは?


「わ、私はね。うー。恥ずかしい」


 茜ちゃんは両手で顔を隠してしまった。晴菜ちゃんが脇腹をつついて擽ってる。女の子同士だから、セクハラにならないんだよね。不思議。

 遂に観念したのか、茜ちゃんは話し始めた。


「あのね。私葵が好きなの」


「で?」


「だから! 好きなの! ライクじゃなくて、ラブなの」


 段々尻すぼみなっていく茜ちゃんの声。反比例するように顔の赤みが強くなっている。

 そっか、この世界では兄妹の結婚とかは普通じゃないんだ。

 私達の世界はその辺寛容だったし、一夫多妻も結構いたそうだから、ちょっとよくわかんない。

 あれ? これ、三世代前の記憶だ。

 一応昔のことは全部覚えているので、混ざることもあるんだよね。これも悩みの種の一つ。


「そっか、こっちじゃ兄妹の結婚はないんだ」


「け、け、け、けっ、こ、結婚!?」


 鶏みたい。面白いかも。


「あれ? 違った?」


「ち、ち、違わにゃいけど……」


「にゃいけどって」


 晴菜ちゃんが腹を抱えて笑っている。気持ちはとてもわかる。顔がつりそうだよ。明日、顔が筋肉痛になってるかもしれないね。


「真剣に悩んでるんだよ! もうっ」


「悪かったわね。いや、でも、まだ笑いが治まらないんだけど」


 口を尖らせて怒る茜ちゃんに笑いながら謝る晴菜ちゃん。

 きっと、二人でいたから、ここまで来れたんだろうなって思う。

 そう、多分、こういうのを親友って言うんじゃないかな。

 お互いに支えあってきたから、お互いに遠慮なく言える。こんな関係性が羨ましいなって思うんだ。

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