表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
61/75

続きはウェブで!

「千文字ですね」


 先生の言葉で鉛筆を置く。私だってちゃんと数えていた。だから、ちゃんと続きはウェブで! って書いたでしょ。計算通りよ。


「ウェブページはどこにあるの?」


「流石にないっすよね?」


「無いよ。流石に」


 フミフミの無邪気な問いかけにリューが重ねて聞いてきた。勿論、嘘はつかずに答えた。


「ちょっと考える時間が欲しい」


「そうですね。では、今日は一度お開きにしましょうか」


 その一言でお開きとなり、私はあてもなくさ迷ってみた。嘘です。園芸部の居そうなところを目指してます。ここの角を曲がれば園芸部の花壇……いたいた、ひよちゃんとお姉ちゃん。


「エナにはね、言うつもりなかったのよ」


「どうしてですか?」


 聞こえてきた内容に歩み寄る足を止める。お姉ちゃんがひよちゃんに相談している。誰かに頼るなんて、お姉ちゃんらしくない。立ち聞きするようで悪いけど、きっと私の前じゃ言ってくれないから。


「エナはいつか何処かへと行くのだと思ってた。こんなところに縛られちゃいけないと、思ってた」


「リナぽん……」


「でも、本当はね。違ったの。私は嫌だった。エナは特別だから。でも、私は普通で。私がお姉ちゃんなのに、妹の方が何だって上手くやるし、私なんていらないのかなって」


「そんな事……」


「いいの。もう大丈夫だから」


 私はそっとその場を離れた。いつの間にかやって来たのは五星池ほとり。その場にしゃがみ込んで池に映る私を見つめていた。

 途中からしか聞いてなかったけどなんとなくこの前の話のことなんだってわかった。


 お姉ちゃんは私より胸がでかくて、料理も出来て、運動もできる。花に対する愛情は誰よりも深くて、優しい。私に対しての言葉使いは荒いけど、それは何よりの愛情表現。他の人に対しては礼儀正しいし、人の輪に入るのも上手で。誰よりも強い、私の憧れ。

 でも本当はずっと悩んでたんだ。私は気づかなかったけど。


「どうしたんだ……」


 後ろから声をかけて来たのは、いつもなら、かなり会いたくて会いたくて仕方のない人。だけど、今は会いたくなかったかもしれない。要するにゼンくんです。はい。


「ゼ、ゼンくん! な、な、なんで!」


 そういえば入りたての頃。いや、今でも一ヶ月経ってないけど、ゼンくんとここであったなぁ。あのときもスッゴくドキドキして。いや、実は今でもとっても緊張する。二人っきりだよ? 友達になって、よく話すこともあったけど、教室の中とは違うんだよ!?


「どうしたのさ……変だよ」


「そんな事ないかな! というか、女の子に変なんて失礼だよ!」


 心配してくれていると思ったら心が浮いてきて、でも、変って言われて傷ついて。でも、変ってことは、いつもと違う、いつもと違うということは、いつもを知らないと言えないから、私のことをいつも見てくれていると言うことで。つまりつまり、えっと? 

 自分でも自分がわからなくなってきたよ。


「相談ならのるよ?」


「ありがとう。うん。あのね、実は」


 お言葉に甘えて相談させてもらうことにした。べ、別に好きな人と話したかったから断らなかった訳じゃないからね。ホントだからね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング お読み頂きありがとうございます。 もし面白いと、思って頂けたらリンクを押してください!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ