続きはウェブで!
「千文字ですね」
先生の言葉で鉛筆を置く。私だってちゃんと数えていた。だから、ちゃんと続きはウェブで! って書いたでしょ。計算通りよ。
「ウェブページはどこにあるの?」
「流石にないっすよね?」
「無いよ。流石に」
フミフミの無邪気な問いかけにリューが重ねて聞いてきた。勿論、嘘はつかずに答えた。
「ちょっと考える時間が欲しい」
「そうですね。では、今日は一度お開きにしましょうか」
その一言でお開きとなり、私はあてもなくさ迷ってみた。嘘です。園芸部の居そうなところを目指してます。ここの角を曲がれば園芸部の花壇……いたいた、ひよちゃんとお姉ちゃん。
「エナにはね、言うつもりなかったのよ」
「どうしてですか?」
聞こえてきた内容に歩み寄る足を止める。お姉ちゃんがひよちゃんに相談している。誰かに頼るなんて、お姉ちゃんらしくない。立ち聞きするようで悪いけど、きっと私の前じゃ言ってくれないから。
「エナはいつか何処かへと行くのだと思ってた。こんなところに縛られちゃいけないと、思ってた」
「リナぽん……」
「でも、本当はね。違ったの。私は嫌だった。エナは特別だから。でも、私は普通で。私がお姉ちゃんなのに、妹の方が何だって上手くやるし、私なんていらないのかなって」
「そんな事……」
「いいの。もう大丈夫だから」
私はそっとその場を離れた。いつの間にかやって来たのは五星池ほとり。その場にしゃがみ込んで池に映る私を見つめていた。
途中からしか聞いてなかったけどなんとなくこの前の話のことなんだってわかった。
お姉ちゃんは私より胸がでかくて、料理も出来て、運動もできる。花に対する愛情は誰よりも深くて、優しい。私に対しての言葉使いは荒いけど、それは何よりの愛情表現。他の人に対しては礼儀正しいし、人の輪に入るのも上手で。誰よりも強い、私の憧れ。
でも本当はずっと悩んでたんだ。私は気づかなかったけど。
「どうしたんだ……」
後ろから声をかけて来たのは、いつもなら、かなり会いたくて会いたくて仕方のない人。だけど、今は会いたくなかったかもしれない。要するにゼンくんです。はい。
「ゼ、ゼンくん! な、な、なんで!」
そういえば入りたての頃。いや、今でも一ヶ月経ってないけど、ゼンくんとここであったなぁ。あのときもスッゴくドキドキして。いや、実は今でもとっても緊張する。二人っきりだよ? 友達になって、よく話すこともあったけど、教室の中とは違うんだよ!?
「どうしたのさ……変だよ」
「そんな事ないかな! というか、女の子に変なんて失礼だよ!」
心配してくれていると思ったら心が浮いてきて、でも、変って言われて傷ついて。でも、変ってことは、いつもと違う、いつもと違うということは、いつもを知らないと言えないから、私のことをいつも見てくれていると言うことで。つまりつまり、えっと?
自分でも自分がわからなくなってきたよ。
「相談ならのるよ?」
「ありがとう。うん。あのね、実は」
お言葉に甘えて相談させてもらうことにした。べ、別に好きな人と話したかったから断らなかった訳じゃないからね。ホントだからね!




