特研部の活動
「あ! 顧問はね、アッキーだよ」
「うちらの担任な」
一瞬、誰かわからなかったけど、凛姫の補足でわかった。私達の担任。つまり、西谷秋帆先生。通称アッキー。数学の担当だ。
「そうなんですか」
「後で入部届け貰いにいかなあかんな」
そう言えば、先生に何も言ってないや。後で言っておこう。
「そんな細かい話はあとー! えなちに、この部活の活動内容を言わないと……という訳でふゆみん、お願いね!」
驚いた素振りを見せたふゆみんだったけど、すぐに立ち直り私に説明してくれる。
「え、いきなり振るなよ。えっとだな、この部は今年成立したばかり。だから、まだ今日で三回目だったりする。一応、この部活は毎週日曜日の八時からで終わりの時間はそのとき次第。集合はここ。で、この部活が何をしているかだが――」
ここで一拍おいて、息を吸い込むふゆみん。これまでよりも真剣な目をしている。だから、私も息をとめてまつ。
「――魔法というものについてだ」
少し遠いところを見つめながら、ふゆみんは自嘲気味に言う。
「まあ、全く進んでないがな」
「……まだまだ時間はあるよ。ふゆみん」
「そうだったな」
いつものお気楽な口調はどこに行ったのか、不安になるような低めの声で話すフミフミ。
「ま、一言で言うなら、このご時世には非科学的過ぎる、異能力の研究をする部活やね」
そんな二人の雰囲気を壊すように明るい声で凛姫が言う。
「なるほど……どれくらいわかっているの?」
「それがやな……全く進んでないねん。何をすれば良いのかすらわからんのや」
それはかなり困るね。うーん。私が研究をしていたときのやり方を試してみよう!
「……じゃあさ、何を調べたいの?」
私の問いにフミフミが答える。
「……うーん。この魔法なんてありえないって言われている時代にどうして、こんな魔法があるのかな? どうして、使える人は限定されているのかな? そして、どうして、雪薔薇の外では使えなくなるのかな……」
最初の二つはなんとなく理由はわかる。三つ目は私にもわからない。 何故だか、それを知ったら後戻りできなくなるような気もする。
「うちの考えではな、なんで魔法があるのかはわからんけど、使える人の限定はきっと才能やと思うんや。入学試験のあれや」
あの、水晶ね。……外れてはなくないかな。
「……そうは思わないっすけどね。僕は思いの力だと思うっすよ。才能があろうとなかろうと、情熱のある人が使えるのだと思うっす……そうであってほしいっす」
リューが言っていることも外れてはないと思う。
「なら、才能があって、なおかつ情熱のある人が使えるとかじゃないか?」
ぼそっとふゆみんがつぶやく。私は模範解答を知っているので何も言わない。だって、答えだけ知っていても意味がないでしょう? だから、答えの代わりに質問を投げる。
「じゃあ、才能って何かな?」
「……そんなん、わからんから才能って言葉で表されるんとちゃうん?」
「一口に才能って言っても色々あるよ。運動の才能に勉強の才能。個人の素質や訓練で発揮できる、物事をなしとげる力を才能って言うんだよ? じゃあ、どんな訓練すれば上がるのかな?」
私の質問は難しすぎたようで、皆必死に考えている。私は、きっと皆なら答えにたどり着けると、何故だか確信していた。




