特研部アゲイン
「ここだよねー。前来たの」
私は特研部の部室の前に来ていた。2階の学習室。電気が着いている。
「ごめんくださーい」
そう私が声をかけると中から返事が聞こえてきた。
「はいな、どちら様かいな……って成瀬ちゃんやないか!?」
窓ガラスから見えていたみたい。こちらからも驚いた顔をしている凛ちゃんが見える。
「あはは、入部してみたいんだけど……」
「おうおう、ええでー、入ってーな。皆に紹介するさかい」
方便。ってやつだよね。ちょっとよく分からない。
凛ちゃんがドアを開けてくれたので入る。そこには、冬実先輩、葵くんが席に座っていた。
「この前ぶりだな。いつも晴菜が世話になっている」
冬実先輩が立ち上がって、そう言う。何かを思い出したかのように、凛ちゃんが手を打つ。
「そっか、成瀬ちゃん、ふゆみん先輩と試合してたもんなぁ」
「うん」
「私もまだまだだと知らされたよ」
苦笑いする冬実先輩。
「2組ばっかりだよな」
ふと、思い付いたように呟く葵くん。
「そうやね~。ふゆみん先輩もうちも、葵くんも、フミちゃん先輩もやもんな」
「リューマ先輩だけじゃないか? 三組」
今、知らない名前が出てきた。部活の残りのメンバーかな?
「たっだいま~!」
「帰ったすよ」
その時、丁度ドアが開いて、二人の人が入ってきた。一人は黒い髪。だけど、青にも見える、そんな不思議な髪をカールさせて、腰辺りまで伸ばした女の子。
もう一人は、茶髪をショートにした男の子。多分、イケメン、の部類なんだと思う。
二人とも元気な感じ。
「およよ? その子はだぁれ?」
不思議な女の子が首を傾げていたので、自己紹介をする。
「初めまして。成瀬恵那って言います。入部してみたくて来ました」
「成瀬ちゃんはうちと葵くんとおんなじクラスなんやで」
少し興奮ぎみに凛ちゃんが言う。それに苦笑しながら、不思議な女の子が私に質問する。
「んー。ここがどんな部活か知ってる?」
「殆ど知りません」
事実をそのまま伝える。不思議な女の子は瞬きを数回繰り返す。
「そっか~。うん。じゃあ、今日から知っていけば良いよ~」
笑顔でそう言った。さっきからずっと黙っていた茶髪の男の子が挙手をして名乗り上げる。
「そう言うわけなら、まずは自己紹介っすよね! 僕は二年三組の安部リューマっす! 安倍晴明と同じ苗字っす! 子孫っす!」
「自称な」
元気な自己紹介に冷静に葵くんがツッコム。まるでコントのようだ。見たことないけど。
「じゃあ、次はフミだねー。うーん。……部長の黒野屋フミだよ。元気な事だけが得意かな?」
「二組のリーダーだな。一応。それに、いつも事件を起こすトラブルメーカーだ」
「トラブルメーカーなんかじゃないよ~!」
そう言えば、合同授業の時にリーダーをしていた気がする。
フミ先輩が一歩前に出て、その後ろに他のみんなが並ぶ。そして、フミ先輩は満面の笑みで私にこう言った。
「成瀬恵那ちゃん、歓迎するよ! ようこそ、特研部へ!」




