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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
51/75

ありがとう

 英語の授業は終わりを告げる。


「きりーつ、気を付けー……れーい」


「ありがとうございましたぁ」


 号令と共に皆変える準備を始める。


「ゼンくん……寝てたでしょ」


「あはは、バレた?」


「バレた? じゃないよ。先生が気づいてないみたいだから良かったけど」


 遠目で見ると、ノートを写しているようにしか見えないからね。


「だって英語眠いからさ」


「そうかな」


 私は英語は寝れないなぁ。先生がハイテンションで。英語の先生の名前は安東先生。本当にハイテンション。ついたあだ名がハイテン安東。これは私命名ではない。


「国語は起きてられるんだけどね……」


「逆に聞くよ。なんであれで起きてられるの?」


 国語は今古典。先生が暗唱しようとか言ってて、私は全部覚えてるけど、皆は何度も言って覚えるから、もう子守唄だよ。


「お経みたいで良いじゃん」


「お経が何かは知らないけど、ただの子守唄だよ」


「お経って言うのはね、私もきちんと知ってるわけじゃないけど、お寺で御坊さんが読む、多分かなり大事なものだと思うけど……すごく眠くなるわね」


 晴菜ちゃんが振り向いて説明してくれる。ふむ、つまり、ゼンくんはおかしいと言うわけだね。よくわかります。


「あ、そうだエナ。土曜日の昼から空いてる?」


「うん」


「じゃあ、第1回目の会議をするから、寮の私の部屋にリナさんと来て。508よ」


「わかった」


 唐突だし、何をするのかも全くわからないけど、まあいいや、楽しそうだし。


◇◇


 放課後はお姉ちゃんの引っ越し作業。案外すぐに終わった。 一日前倒ししてる。


 翌日金曜日。何故かひよちゃんや晴菜ちゃん達がそわそわしていること、それに私とお姉ちゃんが揃って首をかしげたこと以外、特に何もなかった。


「エナちゃ……エナ、リナちゃんと二時だよ? 片付けとかするから、ちょっとくらい遅く来ても構わないよ~」


 放課後には茜ちゃんがそう言って帰っていった。なんか、やっぱり変だよ。まあ、なんでもいっか。


 その翌日。五月十四日土曜日。こちらに来てから九日目。午後2時。


「お邪魔しまーす」


 私とお姉ちゃんは中に入る。何故か電気が消えていて窓も閉じられている。


 パンパン、パン、パン。なにかが爆発したような音が4回聞こえた。そして、電気が着く。


「ウェルカムトゥ雪薔薇ジュニアハイスクール!」


「ささ、こっちおいでよ!」


 ひよちゃんと茜ちゃんが私達の手を取り引っ張る。されるがままに座る。


「今日は、エナとリナちゃんの歓迎会よ」


「た、楽しんでいくのよ!」


 晴菜ちゃんが説明してくれ、エイリちゃんが盛り上げようと頑張っている。部屋を見渡せば、ようこそ、や歓迎会、など色々と飾り付けされていた。


「ありがとうございます」


 お姉ちゃんが言う。私も続いて言う。


「皆、ありがとう!」


「良いってことよ……改めてこれからよろしくね。お二人さん」


「よろしくだね! エナ、リナ!」


「少し、恥ずかしいかもですね……でも、改めてよろしくお願いしますね、えなち、りなぽん」


「ようこそ、なのよ!」


 そうして始まった歓迎会は夜になっても止まらず、結局、そのままお泊まり会に移行したのだった。

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