説明よりも早く
皆に説明するのかぁ。面倒だなぁ。皆どこまで知ってるんだっけ。わからないや。まあ、とりあえず……。
「先にご飯にしない……?」
私お腹を押さえて、お腹が空いているアピールをする。
「そうね。お腹が空いたわ。……良い臭いね」
「きつねうどん定食がお勧めだよ」
「茜……」
オススメのメニューを言う茜ちゃんに晴菜ちゃんが呆れている。どうしてだろう。気になるけど、いいや。
「……?」
どうかしたのかな。お姉ちゃん。私を見つめて考え込んでいる。
「どうかした? お姉ちゃん」
「ううん。別に……。あ、そうだ、エナ。エナのオススメのメニューは何?」
「私? 私はね、カツカレー定食かなぁ」
「えなちは何だかんだでカツカレー定食ばかりですからね」
だって、美味しいんだもん! それに、調理士さんが栄養を考えて定食を作っているはずだから、栄養バランスだっていいと思うよ?
「かつかれー?」
「カツがカレーの上に乗っている料理です」
「カレーは辛くて美味しいよ」
お姉ちゃんは理解するのを諦めたようです。私は詳しく説明するよりも、一口食べてみてほしい。そうすればわかるから。えっと、百聞は一見にしかずだっけ? そんなことばもあるぐらいだし、長々と説明するよりも食べた方が早い!
「私は昨日もカレーだったので、きつねうどんにしますね」
「僕は、たぬきうどんにするよ」
「じゃあ、僕は塩ラーメンかな」
カズマくんだけ話の流れをスルー。なぜラーメン。
「伊勢うどん……?」
ふと、私は食堂のメニューの書かれた札達の中にそんな名前を見つけた。
「あれ、そんなメニューあったんだ」
「私も知らなかったよ……ひよさんは?」
晴菜ちゃんと茜ちゃんがそう言う。
「私も知りませんでした。えーたんは?」
「知らなかったのよ。ゼンは?」
「僕も……でも、伊勢うどんって言うからにはうどんなんだろうね」
「そうだと思うよ……あ」
ゼン君が言った言葉に頷く。そこで、私は大事なことに気がついてしまった。
「品切中だって」
次のときに皆で頼もうと決めた。今回はきつねうどん。油揚げが甘くて、タレがよく染み込んでいる。麺はこしがあって、食べごたえがある。ちゅるちゅるとは太さ的にいかないけど、箸が止まらなかった。
皆、無言で食べ続ける。ちょっとホラー。タレを飲む。このちょっぴりしょっぱい感じが良い。
一気に全て飲めるわけではないから、二三回に分けて飲む――そして、飲み干す。
「ご馳走さまでした」
一番最初に食べ終えた茜ちゃんに引き続き、皆食べ終わる。
「たまにはきつねうどんもいいわね」
「そうでしょ~」
茜ちゃんはとても誇らしげだ。茜ちゃんのきつねうどんへの愛情がわかる。私のカツカレーへの思いに当てはめればわからないこともない。
食器を所定の場所に帰す。そして、席について、また話始める。あれ? なんの話してたっけな。




