昼休みの食堂にて
何だかんだあって、昼休み。食堂です。いつもの5人組……ではなくて、ひよちゃん、エイリちゃん、カズマくん、ゼンくん、茜ちゃん、晴菜ちゃん、そして、私。なんか多くないですか?
「へー、ひよちゃん達もギリギリ負けたんだ」
「うん。先輩強すぎだよ」
「同意なのよ」
ひよちゃんがため息を吐きながら言うと、エイリちゃんもそれに続く。私達はまだ一年だから仕方ないよね。でも、ひよちゃんも負けたのか……。
「他の年と比べて、今年の三年生は強いらしいね」
ゼン君の言葉に全員頷く。晴菜ちゃんは遠い目をしている。冬実先輩がいるもんね。
「じゃあ、僕たちはそれ以上になればいいんだよ」
カズマくんがそう言う。苦笑いしている人もいるし、それが出来れば困らない。って顔している人もいる。誰とは言わないけどね。
でも、誰も否定はしない。表面的にはどんな姿勢であろうと、心の奥底では皆思ってることは同じみたい。私? 勿論私も思ってる。冬実先輩には勝てたけど、それだけじゃ満足なんて出来ない。やっぱり、やるからには勝たなきゃダメでしょ。
「当たり前よ」
「当たり前だよ」
「同然ですよ」
「何を今さらなのよ」
順に晴菜ちゃん、茜ちゃん、ひよちゃん、エイリちゃん。カズマくん逆に驚いてる。
「そんなだからカズマは馬鹿なんだよ」
「な、馬鹿とか言うなよ」
馬鹿なカズマくんか……。
「バカズマくん」
なんかイナズマみたい。テンポ? 発音? その辺の何かが。ニュアンスが似てる……あ、ニュアンスは違いって意味だから、逆だ。んー、もういいや。
「やめてくれるっ? 前も大変だったんだよ、皆に浸透しそうで」
「お疲れさまでしたねバカマさん」
ひよちゃんはにやにやしながら他人事のように言う。
「更に変化してるしっ!」
「バカズマはなんか格好いいから、バカマで充分だろ」
「ゼン酷くない?」
見ると、エイリちゃんと晴菜ちゃんと茜ちゃんは爆笑してる。晴菜ちゃんに至っては、椅子まで叩く次第。机には御飯があるからね。ちなみに、今日は皆カツカレー定食。汚れたら落ちないよ?
「カズマさん、バカズマさん、バカズマカゲマカズドンさん」
「いや、これまでの合わせるなら、バカズマカゲマカズドンより、バカズカゲカズドンの方が言いやすいよ!」
私は素直にそう思った。〝マ〟って言いにくくない? 長文の時。特に普段使うこともないようなこんな文章の時。
「って、そこは足さなくて良いからねっ! というか、恵那ちゃんの方僕の名前の中でカズしか入ってないんだけど」
わざとだし。言いにくいからだし。カズとかなんか格好いい名前だなぁ。
「五月蝿いぞ。一年生三組の男子」
あーあ、先生に怒られた。私は静かにしーてよっと。
「すいませんでした!」
「よし」
教育指導の怖い、物理的に頭の残念な先生だから、怒るとかなり怖い。だから、カズマくんの言葉に頷いて、あっちへ行ってくれて助かった……。
私達はちょっぴり反省して、少し、静かに残りの御飯を食べることにした。




