編入生が来るらしい
違う子の視点で参ります。
8/29(月)四部と引っ付けました。
その為話数が減っております
5/13(金)エナsideとゼンsideを入れ換えました。それにともない、各sideの最初の文を変更しました。他には内容に変更はありません。
異世界に来て二日目。
私は学園に試験を受けに来ていた。ある程度こちらの世界のことを学んで来た。その知識から言わせてもらうと、西洋風の建物で、ものすごく大きい。
校舎がというよりは敷地面積が。さすがにヴァ○ディールと同じぐらいあるとこにはかなわないらしいけど。
とある遊園地と同じぐらいらしい。u○jとか言う遊園地。行ったことないからわからないけどね。校舎、寮、体育会、プール、食堂、図書館、プチ商店街、中庭、道を挟んだところにグラウンド、駐車場、駐輪場。
この世界なんでもありすぎる。校門から校舎まで数百メートル。10分もかかった。
付き添いに成瀬結香梨さんが来てくれている。
変な服のおっさんの姉の友人の妹で、私を養子として引き取ってくださるらしい。
「ゆかりさん。すごーく広いね」
「そうでしょう。私の自慢の母校なんだから」
胸を張って答えるゆかりさん。
「んー、でも、お母さん、って呼んでほしいなー」
ゆかりさんは横に首をかしげ、後ろで手を組み、笑って言う。
「お、お母しゃん」
「クスクス」
「笑わないで。頑張ったんだから」
「ハイハイ」
ゆかりさん…ううんお母さんは笑ってる。
うー。ちょっぴり恥ずかしい。だけどお母さん好きだから頑張る。
そうそう、私お母さんの子どもになったから、成瀬恵那という名前をもらった。実のお母さんには内緒だよ? 連絡とれないし、ま、良いでしょ。
そして、校長室まで来てそのドアを開ける……その前にノックする。コンコンと、気持ちの良い音が響く。中から返事がくる。
「どうぞ」
「失礼します」
中に入る。敷居を踏まないように気を付けて。
「こちらが本日我が学園に試験を受けに来てくれた成瀬恵那さんで?」
「はい、そうです」
「よろしくお願いします」
ペコッ。と私は頭を下げる。ちょっぴり緊張ぎみかも。
◇
時はほんの少し遡り、他の視点での物語となる――。
今は5月始めだと言うのに僕らのクラスに編入生が来るらしい。
僕らの学園は特殊な制度をとっていて、才能のあるなしで入れるかどうかをみているので、才能の持ち主なんだろう。
僕らのクラスは一年2組。担任の先生は怒ると怖いけどそれ以外のときはほんわかしてる女の先生。
僕は加賀谷 千。せんじゃなくてゼン。よく間違えられる。そして僕も当たり前のように編入生がどんな子なのか気になっている。
女の子かな? 男の子かな? どっちでもいいけど良い子だと良いな。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。耳に響く学校特有のチャイムが鳴る。
みんな緊張して編入生と先生が来るのを待っている。
5秒経過……まだ来ない。
10秒経過……まだ来ない。
15秒経過……まだ来ない。
20秒経過……まだ来ない。
25秒経過……まだ来ない。
30秒経過…来た!
ガラゴロとドアを開けて入ってくる先生。何を言うのかと、転校生も入ってくるのかとみんな固唾を飲んで待っている。もちろん僕も。
しかし、入ってきたのは先生だけ。みんながっかりしているが先生は気に留めることもなく、
「あら、今日は27秒とコンマ2秒待たせてしまったわね。ごめんなさい」
無駄に細かいこの先生。そんなことより編入生は? みんなの気持ちが一つになった。
「先生。編入生は?」
クラスの葵君が聞く。僕も気になってた。
「寮の準備をしていてもうすぐ来るらしいけど」
カタ、カタ、カタ。そう廊下から足音が聞こえてくる。
「来たみたいね」
先生の言葉にうなずく皆と僕。
「入っておいで」
先生のその言葉に入ってこようとする編入生。しかし、ドアを開けられず額をドアにぶつけた音がする。
「そのドアは横開きだよ」
先生の苦笑混じりの言葉に今度はきちんと入ってくる。長い淡い緑色の髪を後ろで2つに束ねた、青紫の瞳を持つ、不思議な少女が入ってきた。
その少女は、
「成瀬 恵那。気軽にエナと呼んでね」
と、名乗りこちらに笑顔を向ける。いや、自意識過剰だとわかってるけどね。夢をみたいじゃないか。
良いだろ心の中で思うぐらい。願うなら、あの笑顔を僕だけに向けてほしい。あ、あれ?
なんだろう。すごーくもやもやする。




