鬼ごっこ~裏話2~
なるほど。事故だったのね。それにしても、何がどうしてそうなったのかな? よほど強く何かを願ったのかな。
「今でも、どうして能力に目覚めたのかは不明さ」
うん。私にもわかりませんよ? その場にいたのならともかくね。
「能力に目覚め、三人が倒れたから、永山さんは急いで周りの大人に頼った。そして、彼等は回復した。けれど、謎の症状で倒れたことは、周りを不安にさせた。そこからは地獄のようだったそうだよ」
人間、不安を感じれば、どこかにぶちまけて少しでも発散するしかないからね。
「人間の性とは言え、子供に……」
「周りと言っても大人だけで、子供はそうではなかったよ。友達だったからだろうね」
子供は純粋な分、悪いことでも簡単に信じてしまうからね。大人が不安になっても仲間のことだったから、不安よりも心配が勝ったのかも知れないね。
「そして、周りの大人……特にネットがうるさくなってきたので、三人にも白羽の矢が立った。取材とかね」
良い感じの記事が出来そうだからね。人の不幸は蜜の味って、ことだもんね。
「マスコミの追求が激しくなったときに、彼女達に起こったことに心当たりのあった、ここの校長先生と他有志が集まって、彼等の記憶を消した……。いや、正確に言えば、消えたという方が良いのだろうね。そのつもりだったとは言え、予期してなかったことだからね」
どういうこと? もしかして、事故で消えてしまった。ってこと?
「さあね? 彼等の話がもう少し詳しく聞けて、詳しそうな君の知識があれば、少しは解決するかもね」
謎仮面Xは肩を竦めて言う。それが狙いなのね。ふむ。なら、私の魔法で、彼等の思い出を読みと……いや、それはやめとこう。
「事件の起こった公園の資料……ううん。そこに案内して」
「いいけど。理由を聞いても良い? 」
私は頷いて、軽く説明する。
彼等に完璧に思い出して貰うこと。そのために、前情報なしで、あの公園に来て貰うこと。
今現在、エイリさんは三人のことを思い出している。ひよちゃんもエイリさんを思い出してはいるみたいだけど……全員に完璧に思い出して貰うつもりだから、二人とは他のアプローチをしよう。エイリさんは下手を打つと精神を壊してしまうから、三人を優先すること。
「なんだか、試練みたいだね」
なんとなく、そう思っただけ。だけど、彼の琴線に触れたらしい。
「そうだね。じゃあさ、記憶の試練という作戦名なんてどうかな? 」




