鬼ごっこ~もう終幕ですか!?~
千君とひよちゃんでおおくりします!
「……マジかよ」
おっと、危ないな。素が出ちゃった。
でもさ、こうなるとは思わないじゃないか。あの謎仮面Xは話し始めたと思った所で逃げたのだ。
「おっと、ここで話しちゃダメだよね~。まあ、鬼ごっこが終わったらね! 」
そう言って逃げてしまったのだ。
この時、大体半分より少し多目で残り約三時間。
そして今は半分を大幅に過ぎた残り二時間と言うところ。
「はあ、あと二時間か……」
実際問題、彼は終わったら本当に話してくれるのだろうか。
「考えるだけ無駄、だよね」
全ては彼次第だからね。なら僕は、本気で鬼ごっこをすることにするよ。
ゴメンね。えなちゃん。そろそろ幕を閉じようとしよう。
「光炎球! 」
僕の唱えた……叫んだと言う方が近いけど……言葉に合わせて辺りを照らす眩い、光の球が、まるで、太陽のように輝いている。
「もういっちょ。探査! 」
えなちゃんを捕捉する。ついでに、カズマも。他の二人は範囲外だ。つまり、カズマの近くにいるのだが、あいつは会ってないのだろう。
「まあ、いいや。じゃあ、最後に迅速無双! 」
そう言った僕がいた場所には、一枚の落ち葉が降ってきただけで、誰もいなくなったのであった。
―――
私はひよです。
千君とカズマ君から連絡が途絶えたあと、私とえーたんで、協力して、探していました。まあ、私は半分以上しもべ達にやらせていましたが。だって、めんどくさいですから。
それは、三時間を過ぎた頃でした。いきなり、空が光りました。
そして、空から電子音でこう告げられました。
『ゲーム終了。勝者、千、カズマ、ひよ、エイリ』
へ? 誰かタッチしたのですか? あと二時間も走るのは嫌だったので、嬉しいですが。
あ、お前は走ってないだろう的な発言はなしでお願いしますね。
『中部に転送します。動かないでください』
指示通り動かないでいると、いつぞやのごとく床が青く光りました。その一瞬後眩い光りに目を閉じました。そして、次に目を開いたときにはショボくれたえなちと勝ち誇った笑みの千君と状況が飲み込めてないのか、目をパチパチと瞬きを繰り返すカズマ君がいました。
「鬼ごっこ、終わりなのよ……」
後ろからは疲れた様子のえーたんが来ました。
「お疲れ、えーたん」
そう声をかけると恨めしそうな顔でこちらを見てきますが私、何かしましたっけ? 記憶にないですが。
「一人だけ楽はずるいのよ! 」
あ、それですか。でも、案外楽じゃないのですよ? 精神的に。幾つものしもべ達に指示出さなければいけませんし。
「楽じゃないからね? 」
「まあ、なんでも良いけどさ……ねえ、えなちゃん。謎仮面Xは? 」
謎仮面X? なんとなく趣味の合いそうな名前の方ですね。
「誰? それ」
千君曰く、不審者で、この騒動にかなりの関係を持つかただとか。
「あ、それはね……」
そう言い、えなちは仮面を取りだし、上に投げる。
「召還」
……? 召還なら、カモーンではなく、サモンではないのですかね? まあ、こんなことはどうでも良いですが。
えなちが叫ぶと、誰かが跳んできて、仮面を奪い取り、仮面を着けました。
えええ! まさか、まさか、まさかですよ! 魔法的な召還を期待してました! 期待を裏切られショックです!
「やあ、僕が謎仮面Xさ。よろしくね」
「……まあ、この人は放っておいてこれまでの事を話すね」
そう言ってえなちは語り始めました。今回の事を全て。
しかし、謎仮面Xさんの扱いが地味に酷いですね……。泣いてますよ。後ろで一人。まあ、私も無視しますが。だって、めんどくさいですから。




