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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
34/75

鬼ごっこ~東部・西部~

途中でカズマに変更します。

「ここは……」


 ただの公園。大きな木があるだけの普通の公園。ブランコや滑り台の遊具もある。真っ直ぐに進んだら、大体真ん中ぐらいにあった。


「そうだ、あの時……」


 何かが一瞬目の奥で見えた。なんと言えばいいのかわからないが、まあ、今まで忘れていたことを思い出した感じだ。


 ――私、エーリ。よろしくなのよ!


 ――これから、私達四人は一生の友達ですよ!


 ――そこまでいく? まあ、なんだっていいや。


 エーリ、ひよ、カズマの声がする。

 どうして今まで忘れていたのだろうか。僕らは仲間だったと言うのに。


 いや、理由はわかっている。校長先生が言っていた事だろう。


「思い出した?」


 僕の後ろから、謎仮面Xの声がする。振り向く事もなく頷く。


「どうして、忘れていたのかな」


「知りたい?」


 今度は振り向いて首を縦に振る。


「そう、それはね――」


 そう言って謎仮面Xは話し始めた。


 砂時計は四分の一落ちていた。


――――


 僕はカズマ。いつも残念とか言われるけど、何だかんだで女子にはモテてるから。この前のバレンタインなんかね……いや、今はそれどころじゃないよね。

 僕は今は西部にいる。とりあえず、壁沿いに走って来たのだけどなにもなかったから、真ん中を走っている。でも、走るのに疲れたから歩く。


「そう言えば今日の学校はどうなってるのかな」


「さあ? 知りません」


 トランシーバからひよちゃんの声が帰って来た。

 まあ、別にどうでも良かったのだけど。


「……ここ」


 公園。遊具があって大きな木があるだけの普通の公園。


「どうかしましたか? 」


 トランシーバーを切る。ひよちゃんには後で謝らないと。僕はいつも彼女に頭が上がらない。それは昔からだった。


 ――遅かったね


 何処からか声がする。男か女か、若いのか年よりなのかもわからない声だ。


「悪かったね」


 ――待ちくたびれたよ。もう一人は早く着いたのに


「もう一人? ゼンのこと? 」


 今はここにいない友人のことを思いだし、声に答える。


「というか、いい加減姿をみせれば? 」


 強い風が吹き、木が音を立てる。折れる折れる! ヤバイって!


「仕方ないなぁ」


 そう言って木から顔を出したのはエナちゃんだった。エナちゃんが出てきた途端風がやんだ。


「どうして……」


「それも含めて教えてあげる」


 今捕まえることも考えたけれど、それよりも好奇心が勝ってしまった。しかし、エナちゃんは笑ってこう言った。


「私を捕まえられたらね」


 そうだ。今は鬼ごっこの最中で、僕らは鬼で彼女が逃げる。簡単なことだ。彼女を捕まえるだけで良い。その時はそう考えていた。


 トランシーバで仲間に伝えるということも忘れて。


 今は砂時計の砂は半分まで減っている。タイムリミットまで、あと二時間半。そう、つまり、あと二時間半、僕は一人全力で走ることになった。


 エナちゃんが他の区域に行ったことにも気づかないまま……。

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