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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
32/75

ゲームを始めよう

 眩い光に目を閉じる。


「ここは……」


 誰かの声がする。誰だろう。目を開けてみる。そこには、色とりどりの花畑が広がっていた。


「綺麗……だね」


 そうとしか言い表せなかった。


「そうですね」


「そうなのよ」


「うん、そうだね」


 三人ともそのようで、見入っている。


「綺麗でしょ。私の自慢の場所」


 後ろからエナちゃんの声がする。その声に振り向けば、少し悲しげな顔をして、いつもは二つに結んだ髪をほどいているエナちゃんがいた。


「えなち……?」


「どうしたのかしら」


 ひよちゃんと誰かがそんなエナちゃんに疑問を持つ。


「ここね、私の家をモチーフに作ったんだ。だからかな? 家族のことを思い出しちゃうよ」


 泣きそうな顔だった。胸が痛くなって、今すぐにでも抱きしめたかった。だけど、体は動かなかった。


 そんな僕たちを見て、彼女は言う。


「ねえ、私とゲームをしよう? 拒否権はないよ」


 それは、悪夢の始まりを告げた。


―――


「種目は鬼ごっこ。ルールはこう

・私……エナが逃げて、皆が追いかける。

・エナに触るか、五時間の経過でゲームは終わり。

・範囲はこの世界全て。

・10分ごとにエナの通った区域をヒントとして出す。

・この世界は5つの区域に別けてあるので、それぞれ北部、南部、西部、東部、中部と呼ぶ。

・区域の出入り口はそれぞれ鏡であり、それ以外は存在しない。

・鏡はそれぞれの区域に二ヶ所設置してあり、対応する区域の鏡に飛ぶ。



……こんなもんかな? って、あ、これ。どうぞ」


 そう言って渡されたのはトランシーバーのようなもの。


「使い方はまあ、わかるよね。この世界ならどこにいても繋がるようにしてあるから安心して」


 なんとなくだけど使い方はわかる。


「他に質問は?」


 エナちゃんが聞く。


「五時間って……どうやって計るの?」


 え、そっち? ひよちゃん、聞くところそっち?


「え? あ、それはね」


 そう言いながらパチンッと指を鳴らすエナちゃん。すると遥か上空に大きな砂時計が現れた。


「こう言うことっ!」


 エナちゃんはいつになく明るい声で言うけれど僕には、空元気のようにしか見えなかった。他の三人はそうではないようだ。


「じゃあ、もう質問はないよね! 今から三分後君たちに掛けた魔法が解けるから、追いかけて来てね!」


 そう言って、東部と書かれた鏡に飛び込むエナちゃん。文字通り離れたわけだけど、心の距離も離れた気がしたのは気のせいだといいな。

もう少し千君のターンです?

多分。

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