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異世界(地球)の中学校に通うことになりました!  作者: 雨森 海音
一年生、5月
31/75

異世界転移?

今回も千君サイドです

「……っ!」


 少し地面より高いところから落とされた僕。なんとか声を出さずには済んだが、舌を噛んでしまった。


「……ここは」


 周りを見渡せば、石で出来た冷たい部屋にいた。ふと後ろを振り向けば、未だに寝ているカズマがいた。


「流石におきろよっ!」


 ここで決めるは脳天踵落とし。良い子は危険なので真似しちゃダメだよ。カズマは当たる寸前で僕の足を受け止める。


「危ないだろっ!」


「ならもっと早く起きろよ」


 僕は悪くない。起きないカズマが悪い。カズマなら避けれるってシンジテタカラネ。棒読み? 気にしない。


「ここどこ?」


「僕が知りたいよ」


 詳しい説明をしようにも、僕にもわからないからね。なんとも無理なわけだよ。


「まさか……」


 カズマがはっとしたように何かを言う。もしや、ここを知ってるのか?


「なあ、これってさ……」


 なんだよ。早く言えよ。気になるだろ。


「異世界転移とか言うやつじゃない?」


「んな」


 僕は、カズマの言葉に頭が狂ったのかと一瞬思ったが、続くカズマの言葉に口を閉じる。


「エナちゃんそうじゃない?」


 そう。僕らのクラスメートであり、僕の好きな人……って、なに言わせんだよ。


「そうだったね……カズマのくせによく覚えてたね」


「カズマのくせには余計だよ」


 僕達がそんなことを言っていると、不意に、僕達を後ろから飛び越える人影が見えた。すげえな、ジャンプ力。


「……だ、誰?」


 逆光でよく見えない。後ろから、また、足音がする。聞こえてくる数的に二人か三人。その足音の主を確かめる。


「千君にカズマさん。どうして……」


 ひよちゃんと……誰だ。思い出せそうで思い出せない。あんなに綺麗な黒髪なら忘れるはずないのに。


「ひよちゃんこそ。どうして?」


「私達は……って、えなちは?」


 え、エナちゃんもいるの?


「私ならここにいるよ?」


 それは、僕達を飛び越えた人影から発せられた言葉。


「気づくのが遅すぎるよ。そんなだから……ま、いっか」


 エナちゃんはいつもと違う雰囲気を纏っている。


転生する探求者トランスマイグレーション・シーカー


 エナちゃんが、何かを唱えた瞬間、エナちゃんの手元に本が現れた。


「え、えなち。どうして……」


「この世とは違う世界へ導け! 幻想世界ファンタジーワールド


 僕はエナちゃんの不敵で、しかし、悲しげで儚い笑い顔を最後に見てしまった。それが、どういうことを指す笑いなのかを知らずに。


 そして、僕らは今度は意識を失うことなく、他の場所へ転移させられた。

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