謎仮面X
最初に説明が、そのあと、千君サイドでおおくりします
エナ達が意識を失った頃。時を同じくして、千達の前に仮面を被った男があらわれた。
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初めまして……いや、そうじゃないか。まあ、何でも良いや。僕はゼン。漢字にしたら読み間違う人がいるからカタカナで自己紹介することにしてる。
口に出したら漢字でも平仮名でも片仮名でも変わらないけどね。
「誰? 僕らに何か用?」
僕は仮面の人に言う。
「ふふふ」
謎の仮面の人は不思議な感じに笑う。なんか不気味だ。
「まあ、誰でもいいでしょう? 強いて言うならXと言うのが好きですね」
な、なんだよ、謎の仮面Xとでも呼んで欲しいのか? いや、謎仮面Xでいいか。
「こんな時間に人を訪ねるのはどうかと思いますが?」
謎仮面Xはそっと顔を横に向ける。
「大人の事情ですよ」
「子供を自分勝手な理由で振り回す、最低な大人の言うことですね」
仮面を被っていて、表情は見えないけれど、きっと冷や汗でも掻いているのではないだろうか。僕にもこんな風に話しているのには理由がある。
僕のルームメートはカズマなのだが、こいつが起きない。僕の後ろにいるので、起こそうと思うと、謎仮面Xに背を向けなければならない。何となくだが、そんなことをしてしまえば、僕らはおしまいだと思う。何故かはわからない。ただ、そんな気がするだけ。
ど、どうしよう。困った。なんで起きないんだよ。まあ、普段から寝坊しまくっているが。僕がルームメートじゃなければ一体どうなっていたのだろうか。
「最低な大人ですか。正にその通りなのかもしれませんね」
僕の発言から三十三秒後、謎仮面Xは自嘲気に言う。なんで僕は三十三秒なんて数えていたのだろうか。思っていたより、混乱しているらしい。
でも、普通だと思いません? だって今四時半過ぎだよ? 細かく言うなら四時四十分。なんでこんな時間に……?
いや、こんな時間に起きてた僕が言うのもなんだけどね。ああ、窓開けとかなきゃ良かったな。でも、ここ6階なんだけどな。窓から来るとか、余程の馬鹿なのでは……
「君の判断は間違いだったね」
? どう言うこと?
「さあ、準備は整った。本当なら、君らは僕を見た瞬間逃げるべきだった」
「なら、そうさせ――」
僕の言葉は遮られた。床が青く光り、僕の意識が途切れたからだ。




