生活水準の違い
「お前さんは理解が早くて助かる」
唐突にそんなことを言い出し首をたてに振るおっさん。なんか、腹立つなぁ。
「理解が早くて助かる。って悪役の言葉みたいですね」
「そうか? ヒーローが言ってもおかしくないと思ってたんだが」
ん? まあ、よく分からない話だから、気にしなくてもいいのではないかな。そんな気がする。
「ま、どっちでもいいことですけど。それより中学校とかについて話さないと日が沈みますけど」
「大体の場合はお前さんが茶々をいれるからだろう」
「そんなことないと思ういますけど」
どっちでもいいから。早く進めようよ。早く。私は机をバシバシと叩く。
「あ、悪いな。えっと。中学校についてだな。えーっと中学校とは、日本の学校の区分の一つで義務教育だ。三年間通うことになるな。エナの場合はな」
「ふーん」
努めて冷静な口調で返す。内心はワクワクで震えている。
「まあこの後のことは学校によって違うから学校が決まってからにしようか」
「面倒になったんですか? 」
「そんなことはないぞ! 」
あ、嘘ついてる。後ろから刺されて死んじゃうよ。私はやらないけど。だってめんどうだし。
「あー、エナ、この付近の学校で編入可能な学校は3つ。一つ目は中山第一。パンフレットだ」
と冊子を渡してくる。なにこれ。ヤバいどうなってるの? 綺麗な紙だよ! 色付きだよ! しかも字がほとんど同じ大きさ。こんなの王都でもみたことないよ。
「そのこの紙ってものすごく高級なのではないでしょうか」
つい口調が変になる。ちょっぴり緊張してるのかも。
「そんなことないぞ。一般に出回ってるしな。カラーコピーしても五円ぐらいだったよな」
「そうですね」
聞き慣れない言葉があって少し気になった。
「五円? 」
「この国の通貨だよ。 円といってね。一円が一番下で五円はそれが5枚。まあほとんどなにも買えないね」
そうなんだ。すごーくすごい。あの紙が当たり前なのか。へえ、もう驚かないぞ。そういえば他の学校は?
「次は中山第2だな。ほれ」
またパンフレットを渡してくる。
「最後が雪薔薇学園だ」
パンフレットを………………あれ? くれないの?
「あー、えっとだな。 この学園は非常に変わっている。
特殊な制度をとっている。 魔法?なのかなんなのかは知らないが。 異能の力を使ってバトルをし、それの結果でランキングを作ることによって生徒の評価をする。もちろん普通の勉強もするが。あと、全寮制だ」
へー。面白そう。全寮制ってなにかよく分からないけど、気になる。なになに、全寮制って学舎に住むのか……。え、ちょっと違う? いや、たいして変わんないでしょ。
「面白そう。そこ行きたい。全寮制なら、すむ場所に困らない。すごーく面白そう」
「だが、一応編入だから試験があるぞ。学問じゃなくて実技のな」
「学問は得意じゃないからむしろ嬉しい。実技ってなにするの?」
向こうの世界の学問なら誰にも負けない自信はあるけど、こちらではそうはいかないからね。魔法とか無さそうだし、歴史とかわからないし。でも、実技も純粋な運動能力なら……。
「えっとなんだったかな?」
「適性審査らしいですよ。何をするから書いてありません」
へー。何をするんだろう。楽しみだな。でも、ちょっぴり不安かもしれない。だって私はインドア? 派だから。