居眠り?
6/13(火)永山さんの口調を変更しました。
やはり、校長先生の話しは長かった。そして、至るところで脱線するのである。そしたらさ、眠くなるよね? わかるよね? まあ、つまり、私はうつらうつらと居眠りをしてしまった。
「恵那さん……」
「えなちー! 起きろ! 」
そうやって、私を起こしてくれようとしたひよちゃんと、校長先生。しかし、それを止めた人がいた。
「私が眠らせたから起きないのよ」
長く、腰ぐらいまである黒髪には自然なウェーブがかかっており、凛としたその姿勢はとても冷徹なように見えた。どこのドアも空いた気配はなかったが、どこから入ってきたのだろうか。
それは、置いといて。お分かりいただけただろうか。眠っているはずなのに、起きているのだ。ある種の幽体離脱みたいなのかもしれない。
「どう言うことですか? 」
私の聞きたかったことを聞いてくれる。なぜ私を眠らせたのか、とても気になる。しかし、体を動かすこともできないので、聞くこともできず、ままならぬ状況だ。というか、あんた誰だよ。
「聞きたいことがあるならまず、名乗るべきではないのかしら? 」
見下したように言う謎の人。なによ、その言い方。滅茶苦茶腹立つんですけど!
「1年3組の有岡ひよです」
「1年2組の加賀谷千です」
それでも律儀に名乗る二人。で、こいつは誰な訳よ。
「私も聞きたいわね。永山さん」
校長先生の一言で謎は解けた。つまり、この人が永山さんだったのだ。どうしてこんな人が不登校なのだろうか……
「私にとって、あなた方は信頼できるからなのよ」
「どう言うことですか? 」
そうだぞ、私だって、ひよちゃんと一緒で信頼できるはずだよ! 多分。
「先生お願いしますの」
「いいのかい? 」
「はい」
校長先生と永山さんは何か軽い会話をして、校長先生が唱える。
『解除』
反応から察するに、ひよちゃん達はなんと言ったか聞き取れなかったようだ。かなり聞き取りやすかったのにね。おっと、そんなことはどうでもいいか。特に変わったことはない。
「すぐには効果は表れないので、今日はお開きにしましょうか。丁度、昼休みも終わりですしね」
おーい、おーい、おーい。私を忘れてないかな。私だけ授業に遅れるよ~。
「えなちは……」
「こちらから説明しておきますよ」
ああ、前にもあった授業に出られないパターンだ。5限目は体育か……ならいいや。
私はインドア派なのだ。体育なんて嫌いだー! まあ、まだ一度も受けたことはないのだが。聞いたところ、ここは他より一段と厳しいらしいしね。
「失礼しました」
そう言って出ていくひよちゃん達。置いてかないで~。なんてね。というか、早くこの状況をなんとかしてほしいね。
「……馬鹿なのよ。あ、解いてあげなきゃいけないの」
自嘲気味に永山さんの呟いた言葉は、よく聞こえなかった。感覚があやふやになり、そのまま、視界は暗転した。




