謎からの校長室
私は、教室についた。
ひよちゃんはクラスが違うので今はいない。
しかし、私の隣の席は千君だ。
「ねえ、そういえばさ、このクラス私を入れて25だよね? 」
「そうだね」
「じゃあさ、なんで5列にしないのかな? 」
「さあ? 元々が六列×4列だからじゃない? 」
そう、私達の教室は、縦六列×横四列なのだ。つまり、後から来た私が余るはずなのだ。しかし、はみ出していない。それは、つまり……
「居ない人がいる? 」
私達は出席番号一から名前をあげていく。
「1、赤澤、席あるね
2飯島 、席あるね
3上野 、席あるね
4江上、席あるね
5加賀谷、僕だね。
6瀬川、席あるね
7北山、席あるね。
8金谷沢、席あるね。
9高島、席あるね。
10千嶋、同上
11千葉、同上
12鳥羽、同上
13永山……あれ? 」
訳あって学校に来ていない、不登校の子だっけ? でも、どうして席もないのだろう。
「ねえ、不登校でも席はあるよね? 」
「うん。僕もあると思ってたんだけどな」
私より長くこの教室にいた、千君ですら、気づかなかったのか。
「こんなときは、先生に聞いてみよう」
そう言った時、本鈴が鳴る。
「また後でね」
「うん」
その後の授業は集中できなかった。
昼休みになり、食堂にてひよちゃんに打ち明けてみる。ちなみに、カズマ君もいる。もちろん、千君もだ。
「私も知らないな。というか、そんな子いたっけ? 」
「僕もだよ。」
二人とも、永山さんの事すら知らないようだ。
ピンポンパンポンピンポンパンポン
呼び出し等重要な放送の時に使われる音だ。
「1年2組の加賀谷千、成瀬恵那、1年3組の、有岡ひよ、至急校長室に来て下さい。えっ? あ、同じく3組の……名字なんだっけ? あー、カズマ君も校長室に来るように。」
数秒間の沈黙の後、食堂にいる皆が爆笑する。
「カズマ、さすがだな。学園一の影の薄さだ」
「カズマ、じゃなくてカゲマなんじゃないか? 」
私達はカズマ君をスルーして、校長室に歩きだす。
「なんだよカゲマって……てか、おいてくなよな! 」
必死に追いかけてくるカズマ君。走り去りたくなるが、我慢する。
「どうしたんですか? そんなに汗だくで」
ひよちゃんは、わざとらしく聞く。カズマ君に、5のダメージを与えた。
「ほんとだよ。全力疾走したわけでもあるまいし」
千君の追撃、クリーンヒット。カズマ君に、7のダメージを与えた。カズマ君は死んでしまった。
「置いてくことないだろ」
あ、生き返った。まあ、死んだと言うのは冗談だけどね。
そんなこんなで私達は校長室に着いたのだった。




