謎が謎呼ぶ謎の時間
お久しぶりです!
忘れてたわけではありません。ただ、こう、なんか、しっくり来なかったんです。
まあ、他の作品や現実との兼ね合いがありますので不定期更新です。
カズマ君をからかい倒したあと、私達は解散した。そして、そのまま何もなく過ぎていった。そして、ベッドに寝転ぶと直ぐに睡魔が襲ってきた。
「……ねえ、どこを見てるの? 」
どこをって、……どこをだろう? 女の子? の声がする。声変わりしていない男の子の声にも聞こえる。声以外は聞こえないし、何も見えない真っ暗な場所だ。
「あなたは? 」
声は出るようだった。ゆめ……では、ないようだ。
「私は……だよ? 」
「何て? 」
「だから、……だよ」
「聞こえないよ」
名前の部分だけ聞こえないのだ。まるで誰かが聞かせたくなくて、ぼかしているようだ。
「エナ、ゴメンね忘れてた。私は名前を貴女に教えることはできなかったのよ」
少しの間の後にそう告げられた。
「どう言うこと? 」
「……それも、言えないの」
「そうなんだ」
「ゴメンね」
「いいよ。何となくわかったから……」
そう、きっと彼女は……。
「それでこそね。貴女で良かった」
「期待に添えれば光栄です」
お辞儀しようと思ったが、そもそも、ここでは自分の服すら見えなかったので無理だった。
「良いのよ、そんな風に気負わなくて。私にも、そんな事があったから」
「ありがとう」
「こちらこそ、よ。目が覚めれば貴女はここの事を、私の事を忘れるでしょうね。これまでのように」
「これまでのように? 」
凄く衝撃の事実なんですが。さらっと言わないで下さい。
「ええ、貴女は忘れてるでしょうけどね」
「そう、なんだ」
少しの悲しみと共に告げられた言葉に私はそう返すことしかできなかった。
「ええ、貴女は忘れるの何もかもを。一つの物と引き換えにね」
「何と? 」
「企業秘密よ」
「そうですか」
「ええ、貴女は貴女になれば良いのよ。」
「それって……。貴女は……」
何も見えないが口を塞がれたような気がする。実際に声が出せない。
「貴女は気にしなくて良いのよ。これは私の事なのだから」
「んー。んー。んー」
「貴女も、自分の決めたことは曲げたくないでしょ? 」
それを言われると困る。私の一番嫌いな事なのだ、自分の決めたことを曲げる事は。
「良い子。良い子ね。それで良いのよ。ああ、もうそろそろお別れね。また、いらっしゃい」
そう言うと声は消えて、相変わらずの暗闇だけになる。しかし、少しすると、眠るように意識は無くなるのだった。
◇
窓から差す朝日が眩しい。まだ、今日は日曜日だ。ベッドから、立ち上がり、姿見の前に立つ。なぜだか、頬が濡れていて、泣いていたように思える。
「どうして? 」
また、覚えてないのだ。何故だか知っているはず、と魂は訴えてくる。しかし、私は覚えていない。それはとても忘れたくないものだったはずなのに。どうして? 私は賢者で大抵の事は忘れない。でも、最近は忘れん坊だ。どうしてなのだろうか。魔素が薄いからだろうか。いや、そんなはずはない、それならばもっと前にわかっているはずだ。そんな報告はない。
なら、どうして? 答えはわからない、だ。なら、どうする? 答えは探すだ。わからないなら答えを探すまで。それが私達賢者だ。
そう、それで良いはずだ。なのに、心はダメだと訴えてくる。どうしろと言うのだろうか。
良いだろう別に、私は決めたのだ、心の訴えに負けることはない。私は一度決めたことは曲げる事はない。
嘘ですごめんなさい。結構曲げます。でも、今回は、 多分曲げないと……思うよ? 多分。まあ、そんなこんなで私は昨日のきっと夢だろう何かの事を手探りで探し始める。




