特研部
「そういえば、成瀬さんは研究が趣味なんだよね。なら、特研部何てどうかな?」
唐突に千君がきいてくる。特研部? 何をするんだろう。というか、この前のパンフレットには載ってなかったような。
「特別研究探究部。通称、特研部です。最近出来たばかりで、パンフレットにすら載ってません。部員は五名。それ以外はまだ知りません。その内、記事にする予定なので、調査にいきますけどね」
ひよちゃんがブイサインしながら教えてくれる。なるほどね、それで載ってなかったのか。いや、それも気になったけどやっぱり活動内容が知りたいな。
「たしか、二階の学習室で活動してるんだよね。活動内容は謎に包まれているけどね」
なにそれ、目茶苦茶気になる。二階の学習室ね。後でいってみよ。
「行ってみる? えなち」
え、良いの? ひよちゃん達が良いなら。行きたいな。私は皆の意見を聞いてみることにした。
「私は、行きたいけどみんなは?」
「良いよ」
カズマ君が笑顔でうなずく。
「僕は元々、部活案内してたから、かまわないね」
千君もそれにならって頷いた。
「なら、逝こっか! 」
そう言い、歩き出すと
「えなち、漢字が違うよ」
ひよちゃんが指摘してくるが、私は知らない振り。だってわざとだもん。最近覚えたんだ。
「そんな事無いよ」
「そう?」
「うん」
「ならいいけど」
ひよちゃんと話しながら階段を上る。そして、学習室にたどり着いた。
コンコンッ。ドアをノックするも、返事はない。電気も着いていない。
「今日は休みなのかな? 」
「そうかもしれないね」
ひよちゃんがドアを開けようとしても開かなかったからそう思ったのだ。戸締まりはきちんとしてあるんだ。
タタン、タタン、タタン、タタン、タタンと、小太鼓の音がする。五時の合図だ。休日は一時間に一回小太鼓の音が鳴る。一時なら一回、二時なら二回、と毎時の合図だ。
休日は五時の合図の後、十五分後に校舎の鍵がかけられる。防犯の為だ
「もう、こんな時間だったんだね。僕等もそろそろ帰ろっか」
そんな千君の言葉で、私達は校舎を出ることにした。
「早かったね、時間たつの」
ひよちゃんが階段を降りながらしみじみとして言う。その言葉に千君も続く。
「そうだね。まだ、三時ぐらいな気がしていたよ。もう少しゆっくり時間が進んでくれないかな?」
私は階段の途中で立ち止まり、振り向き、千君の言葉に反対する。
「そうかな、私はそう思わないな。だって、時間が早く進むと感じると言うことは、それはとても楽しかったということだもん」
「それもそうだね」
頷く千君と、無言だったカズマ君が頭をかきながら言う。
「まあ、良い一時だったね」
「そうだね。また、遊ぼうね」
「うん」
「まあ、でも、食堂まで一緒に行くよね? 」
不思議そうに言うカズマ君。空気読もうか。二人もそう思ったらしく。
「カズマ……」
「カズマさん……」
呆れ、半目でカズマ君を見る二人……それと私。
「え? 何かした? え?」
カズマ君はただただ狼狽えていた。




