友情と恋愛
3部と四部を結合しました。
それにともない、1話減っております。
ご理解と協力いただけますようお願いします。
「別に、楽しい時間が続けば良いなと思っただけだよ」
ひよちゃんの顔は少し暗かった。どうしたのだろう。それに、普段と口調が違う。
「ひよちゃん」
私が呼び掛けると、明るい顔になった。
「なあに?」
「ううん。なんでもない」
「そっか、ならいいけど……あ、もしかして、またホームシック?」
「ほーむしっく? なに? それ」
「前言わなかったっけ。まあ、遠く離れて暮らす家族が恋しくなっる……だったっけ?」
「ひよちゃん……ちゃんと覚えてようよ」
最近わすれんぼうな私じゃないんだからさ。そう、最近物忘れが多いのだ。
例えばクラスメイトでも、おとなしい子の名前忘れちゃったし、寮でも、間違って5階で降りそうになったし、最近使ってない魔法も忘れちゃったし。
あ、でも、勉強については問題ないよ?なぜかそこだけは大丈夫なのだ。
精霊本当に謎だな~。解いてみたくなる。ふふん、転生する探究者と呼ばれた私ですからね。こんな謎、解いてみたくならないわけがない。
「おっほん。いいんですよー。べっつに~こんな知識なくてもいいですから」
「そうかなー。まあ、ひよちゃんが良いなら良いけど」
「うん。良いの。て、あ。彼ですよね? えなちの気になる人」
ひよちゃんが指差す先には……千君?がいた。他に誰もおらず一人でいるようで、彼も偶々こっちを見ていて目が合った。
顔が赤くなるのがわかる。
前にいる、ひよちゃんがニヤニヤしているのもわかる。
「ふふっ。おーい。加賀谷くーん。少し話があるんだけど今良いですか?」
「あぶないあぶない。丁寧語忘れるとこだった」
そんなことを言っているひよちゃんに言葉を返すこともできない。彼は、頷くとこちらに走って来たのだ。
こ、来ないで。でもやっぱり来てー。うう、ひよちゃんの、ばかぁー。
「で、僕に何かようかな?」
「私、これから用事があるから学校を案内してあげて欲しいのです。頼まれてくれませんか?」
「いいよ」
「じゃあ、私はこれで」
言いながらひよちゃんは走っていった。でもねひよちゃん。尾行するつもりならもうっちょっと巧く隠れようね。
ばればれだよ。でも、加賀谷君は気づいてないみたい。
「何処から行きますか?」
「えっと~校舎でお願いします」
「了解」
そう言って私達は校舎に向かって歩き出す。周りの生徒達の視線が痛い。加賀谷君人気なんだな。
そう。全く自分の可愛さによって加賀谷君が痛い視線にさらされているとは思っていないのであった。一応美少女転校生なのだ。エナは。自覚したところでなにも変わることはないが。それに、二割はそういう視線なのであながち間違ってもいない。
七割が恵那と、二割は加賀谷君と一緒にいることに対する視線であった。残りの一割は――主に先生だが――ひよちゃんが尾行していることに対する哀れみである。
新聞部の拡散力をなめてはいけないのである。しかし、生徒が犠牲になることはあまりないので、生徒達は先生と交渉するときの頼れる情報源程度なのである。
そんなこんなで校舎に着いた。
「着いたけど……そういえば、入りたい部活とかあるの?」
「うーん。まだ特に。だけど運動部は嫌だなー」
「なら、文化部の見学行く?」
「うん。お願い」
「なら、今から言うなかで、気になったのから行こうか」
「はーい」
「コンピューター研究会」
「気になるけどまあ、いいや」
すごーく気になるけどね。中学校生活でって言われるとねー。だって、コンピューターオンリーなんでしょ?
「演劇部」
「それも遠慮しておく」
疲れるし、目立つのは好きじゃないかも。
「吹奏楽部」
「上に同じ」
楽器は苦手なんだよね。音楽の時間でわかったことだ。
「美術部。」
「私に絵を描けと? 」
無理な話だ。三日坊主で投げるぞ。
「ならねー。何がいーかなー?」
「ごめんなさい……」
「いや、良いけどね」
まあ、気長に行きましょう!
千君、五話とたたずに再登場




