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始まり①

突然渡されたチラシと母親の元気な声に驚かされしばし思考停止してしまった。

なぜこんなにテンションが高いのか?

なぜ日商簿記3級なのか?

そもそもこんなチラシをどこで受け取ったのか?

気持ちが落ち着いてくると疑問がいくつか浮かび上がってきた。

そしてどうやら頭で考えていると思っていた疑問を呟いていたようで、母親が一つずつ答えてくれた。

チラシは駅前で資格取得教室の新規オープンイベントで配られていた事。

チラシにはいくつか代表的な講座が書いてあったが一番取得率が高いため日商簿記3級を進めた事。

テンションが高い理由はもしかするとこれで娘の元気が戻るかもしれない事。

最後の理由については心配をかけてごめんなさいとしか言えない。

しかし晶はこれまで一度も資格取得のための勉強などした事がない。

受験した事があると言えば英検くらいだ。

何より彼女の通っている高校は商業高校ではなく普通高校だ。

そんな彼女にいきなり日商簿記3級を取れと言っても何をしていいか分からないだろう。

だがそんな事は遥の頭には全くなかった。

ただただ単純にやる事が見つかれば娘の様子が元に戻るかもしれないという思いだけでチラシを受け取ってから真っ直ぐ帰って来たのだ。

一通り話を聞いた晶は理解した。要は自分が元気がないから心配してくれたという事か。

ならやってみるのもいいかもしれない。

正直就職活動をやる気は起きないし、バイト探しすらやりたくない。

というよりは怖いのだ。

これまで学校では勉強ができなくても部活では頼られていた。

だから分からなかったのだが、部活を辞め、授業もなくなり初めて理解できたことがある。

これまでは誰かに必要とされている感覚が確かにあったが、就職活動に失敗した時に思い知らされた。

私は社会に必要とされていない。

そう思っていた、だけど、少なくとも今目の前にいる母親だけは私を必要としてくれているらしい。

だってどうでもいいならこんなに心配してくれない。

だから母親のためにやってみるのもいいかもしれない。晶はそう考え、「分かった。良く分からないけどやってみる。」と答えた。

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