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日常の異變 ~故的非日常茶飯事~  作者: ゅぇ
【第一章 2010年秋 親父入院編】
6/21

2010/10/12 親父からのメール

 日記をずいぶんと書いてませんでした。

 別に誰も楽しみにしてないだろうけど……

 すいませんでした。


 ちゃんと書かなかった理由あります。

 それは……

 ……親父が亡くなりました……

 ……激重、激暗です……



 でも亡くなったのは何日か前なので……

 今はちょい元気です。

 それに……


『今日は日記を書こう……絶対に……』


 な~んて思える事があったんで……

 赤裸々にぶっちゃけうようと思います!




 くそ親父っ!

 バカか!!

 いっつも偉そうなくせになんで……

 なんで死ぬわけ?

 もっと根性みせろよっ!!

 あんなにしぶとく生きてたやん!!


 妹が何歳かわかっとる?

 まだ成人式も出てないんぞ!

 親父がおらんと結婚やってしてまうわ!

 ええんか?

 それでええんか?

 一生嫁にいかさんとか言ってたんわ口だけか?



 高校の時に家出してからずっと……

 もう何年もたってるのに……

 まともに口もきけんかった……

 カッコばっかつけて……

 意地はったままで……

 どうせ死ぬんやったら喧嘩したかったんじゃボケ!

 なんの為に毎日毎日二時間半もかけて通ったと思ってるん?

 マジくそ親父っ!!!


 でも自分も悪い……

 自分から話し出す勇気がなかった。

 チャンスなんか山のようにあったのに……

 親父から話してくるまでわ、って意地はっとった……

 自分もくそバカっ!!!

 結局甘えとった……

 最後まで親父にいいとこみせれんかった……

 もうすべてが遅すぎる……


 葬式が終わって何日かたったけど……

 妹がまともに泣いてないのが不安。

 人前で泣いてないだけかもしれんけど。

 それでも凄く心配。

 母も鬱っぽくみえる。

 まったく笑わん。

 同じ言葉を繰り返すばっか。

 なぁ?

 親父?

 この状況どうするん?

 どうしてくれるん!?




 なんて……

 方言まるだし、怒りまるだしになってみました。

 人間狂ってみるのもまた大事。

 声に出す、どこかに書くのも大事。


 そしたらね……

 これぞ……

 奇跡ですよ(笑)


 正直に奇跡ってうすっぺらい言葉だと思ってたけど……

 違う!

 奇跡ってありますよ!


 実は今日……

 親父からメールが届きました。

 凄くね?

 携帯の誤作動かもしれん……

 母の作戦かもしれん……

 奇跡じゃないかもしれん……

 けど僕にとっては奇跡なんです!!



「一緒に酒を飲もう」



 たったコレだけのメール(笑)

 あの親父らしくで笑ってしまった。

 妹や母にも見せたらみんな爆笑。

 だって一言なんやもん。


 みんなで親父の携帯見てみると……

 送信メールはなかった……

 でも僕の携帯には間違いなくある!

 これだけは幻じゃない!!

 だから親父の携帯をめっちゃいじくる。

 すると……

 あった……

 本当にあったんだって……



 未送信メールに(笑)



『送れんかったんかい!』


 ガチで携帯につっこんだし。

 でも日付を見て更にみんなで笑った。

 未送信の日付が……



 僕の成人式の日でした。



 くそバカ親父!

 なんでこんな一通が送れんかねぇ……


 みんなで笑って、笑いまくって……

 みんなで大号泣した。

 やっと妹が泣いてくれた。

 母も笑うようになった。

 僕もなんかが軽くなった。


『嫌われてなかった』


 このメールだけでそう感じたから。

 だから、親父の為に酒を飲もう!

 ビールは嫌いなんだけど……

 近いうちに我慢して付き合いましょう。




 親父のメールに乾杯☆

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