第4話 運命
2015年6月22日2000
国民投票の結果が出て再び総理の顔があらゆるモニターに映る。
香川総理大臣
『こんばんわ、早速ですが今日行われた国民投票の結果が出ましたので、お知らせします。』
テレビやパソコンの前でみなが息を飲む...
香川総理大臣
『憲法改正案、賛成多数。よってこれを国民の総意とみなし、政策を進めます。投票率ですが、過去最高を記録いたしました。このような国民を持つ国家の代表になれたこと、なにより皆様が私を選んでくださった事に感謝します。これにて、放送を終了いたします』
今回の憲法改正案は以下のものです。
憲法9条の改変
その他自衛隊運用に関係する憲法の改変
これによって自衛隊を軍に昇格。名を『日本軍』に改名。
それにより例の艦隊の受け入れを可能とした。
香川総理大臣
「もうこれで後戻りは出来んぞ...。日本を“強い国家”にするための第一歩だ。」
静かにつぶやき、改めて心を奮い立たせていた。
翌日から艦隊の各海軍基地への振り分けが行われた。
振り分けはこうだ。
大湊
戦艦『扶桑』
戦艦『山城』
航空母艦『鳳翔』
航空母艦『龍驤』
航空母艦『龍鳳』
重巡洋艦古鷹型2隻『古鷹』『加古』
重巡洋艦青葉型2隻『青葉』『衣笠』
軽巡洋艦球磨型5隻『球磨』『多摩』『木曽』『大井』『北上』
以下
駆逐艦36隻
横須賀
戦艦『長門』
戦艦『陸奥』
航空母艦『赤城』
航空母艦『加賀』
航空母艦『大鳳』
重巡洋艦妙高型4隻『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』
軽巡洋艦夕張型1隻『夕張』
軽巡洋艦阿賀野型4隻『阿賀野』『能代』『矢矧』『酒匂』
以下
駆逐艦36隻
舞鶴
戦艦『金剛』
戦艦『比叡』
戦艦『榛名』
戦艦『霧島』
航空母艦『雲龍』
航空母艦『天城』
航空母艦『葛城』
重巡洋艦高雄型4隻『高雄』『愛宕』『摩耶』『鳥海』
軽巡洋艦川内型3隻『川内』『神通』『那珂』
以下
駆逐艦35隻
呉
戦艦『大和』
戦艦『武蔵』
航空母艦『信濃』
航空母艦『瑞鳳』
航空母艦『祥鳳』
航空母艦『蒼龍』
航空母艦『飛龍』
重巡洋艦最上型4隻『最上』『三隈』『鈴谷』『熊野』
軽巡洋艦長良型6隻『長良』『五十鈴』『名取』『由良』『鬼怒』『阿武隈』
以下
駆逐艦36隻
佐世保
航空戦艦『伊勢』
航空戦艦『日向』
航空母艦『翔鶴』
航空母艦『瑞鶴』
航空母艦『千歳』
航空母艦『千代田』
重巡洋艦利根型2隻『利根』『筑摩』
軽巡洋艦天龍型2隻『天龍』『龍田』
以下
駆逐艦35隻
と、なった。
2015年6月23日1200
各海軍基地では、最寄の空軍基地から飛び立った戦闘機たちがアクロバット飛行で出迎えた。
受け入れの際、基地を開放し民間人の立ち入りを許可していた。
これは香川が提案した案だ。
今回戻ってきたのは第2次世界大戦時の艦船だ。当時の乗組員達もまだご存命の方もいるだろう。との香川の言葉で今日1日は各基地を開放することとなった。
横須賀基地上空
拓也
『いやー、あれだけ揃うと壮観だな。なぁアルファ2』
篤
『そうだなアルファ1、まだあれが本物だと思えんよ』
そう、北川拓也士長と坂本篤士長だ。
このとき二人は浜松の基地から横須賀に歓迎飛行に来ていたのだ。
拓也
『そうだなー。なぁあの先頭のって確か長門だったよな?』
篤
『そうだが?それがどうかしたのか?』
拓也
『今艦橋に人影が見えた気がしたんだよ。政府の発表にあったのって艦船だけで人は乗ってないはずだよな?』
篤
『まさか。何かの見間違いだろ』
拓也
『だよなー』
戦艦長門艦橋
長門
「..........」
_________________
同1800
浜松空軍基地
管制塔
『おつかれさま、アルファ1、2。滑走路はクリアだ着陸を許可する』
拓也・篤
『了解!』
ハンガー
拓也
「いやー、今日はいいもん見れたなー!」
伸びをしながら拓也が言う。
篤
「めったにこんなこと無いぞ。ラッキーだったな」
二人で今日のフライトについて話しながらぐだぐだ並んで歩いていると、1台の黒塗りのリムジンが二人の横に止まった。
SP1
「北川拓也士長と坂本篤士長ですね?車に乗ってください。今から一緒に来ていただきます。詳細は中で話しますので」
と、スーツで身を固めたSPが言う。
二人は事態を把握出来ずにいたが、車の後部座席を見て即座に敬礼。車に乗り込んだ。
車内
二人は車内に乗り込んだものの、向かいに座っている人物に圧倒され何も話せないでいた。
香川総理大臣
「やぁ、今日の歓迎飛行見せてもらったよ。さすがだね」
拓也
「き、恐縮であります!」
香川総理大臣
「っははは、そんなに硬くならんでいいよ。あぁ、そうだった用事があったんだ。二人にはある人物にあってもらう」
数時間後
横須賀基地
篤
「(なんで海軍の基地なんだ?)」
と。思いつつ総理の後をついて歩いていくと、馬鹿デカイ船影が見えてきた。
目の前には、日本と同じく2回の核を受け沈み、今蘇った戦艦長門が、その巨体を月明かりに照らされていた。
篤
「やっぱり、でかいですね。それであってもらう人物とはどこでしょう?」
と、総理の方を振り向くと、口が開いたままの拓也が視界に入った。
拓也
「........」
香川総理大臣
「やはり拓也君には見えていたのか。彼女が君らに会いたいと言ってきたのだ」
篤
「ど...どこにも人なんて見えませんが・・・」
拓也
「総理にも見えているんですか?」
いや、わしには見えんよ。と苦笑する。
香川総理大臣
「紹介しよう、この戦艦長門の艦魂“長門”だ。私は雑務があるんで先に帰らせてもらうぞ。二人の帰りの車は手配してあるからな」
そう言い残し総理は暗闇に消えた。
その場には、長門、拓也。そして未だに状況が掴めない篤だけが残された。
長門
「今日、私の上を飛んでいたのは貴様ら2人か?」
篤
「どっから声がしてるんだ!?」
キョロキョロとあたりを見回す。
拓也
「はい、そうです」
篤は置いてけぼりだ。
長門
「見事な機動だったぞ。久しぶりに飛行機とゆうものを見たよ、だいぶ進化したんだな。」
拓也
「お褒めに預かり光栄です」
長門
「貴様。拓也といったか。拓也殿は私が見えるらしいな。今日の無線のやり取りをきいて、もしや、と思ってここに来てもらった訳だが、まだ艦魂か見えるやつがいたとわな。」
拓也
「艦魂...艦船に宿る魂とゆう解釈でよろしいですか?」
長門
「さようだ、後ろの長門は私1人で航行から砲撃までできる」
拓也
「ほう、この戦艦を立った一人で...」
もう一度戦艦長門の巨体を見上げる。
長門
「そうだ。あぁ、それとここへ呼んだ理由だが、貴様ら二人に、この艦隊の司令を頼みたいのだが、どうかね?」
拓也
「し、司令ですか!?...自分達は空軍です。海軍のを担うには、他にもっと適役がいるはずです!」
長門
「拓也殿、貴方がその“適役”なんだよ。司令であるからには、私達、艦魂が見えている方が勝手がいいのだよ。今一度考え直してくれんか?」
拓也
「はぁ...。しかし、自分は海軍の事をよく知りません。それでも務まるのでしょうか?」
長門
「貴方の知識は私達には、どうにも出来ん。そこは拓也殿の頑張り次第とゆう訳だ。」
拓也
「...(できるのか?俺に。日本の青くて大きな空を守りたくて、航空自衛隊に入った。もし、OKしたらもう飛べないくなるのか?でも総司令なら、海軍のトップだ。努力でなれるものじゃない...どうする、どうするっ)」
拓也の中で色々な思いが行き交う。
数秒、いや数分程時間がたったかもしれない。拓也の中でやっと答えが出た。
拓也
「やります...やってみせます!」
長門
「よく言ってくれた。拓也殿、今から貴方がこの大艦隊の総司令だ。空軍には私が総理に言って、話を付けてもらう。これからよろしく頼むぞ、司令」
拓也
「はい!...何だかむず痒いですね、そう呼ばれるのは」
と言って苦笑いを浮かべる。
完全に空気だった篤だが、二人が話しているうちにやっと状況が掴めたようだ。
長門
「そちらの彼は、篤殿だったね。貴方には副司令を頼みたい。無線を聞いた物としてな。それと、司令と仲が良さそうだしな」
篤
「司令...あ、拓也の事ですね!って副司令!?」
えーっと、えーっと。と篤は挙動不審だ。
また騒がしくなった、と拓也と長門が笑う。
そして2015年6月25日付で北川拓也士長並びに坂本篤士長は空軍から海軍に異動。階級を北川拓也は日本海軍総司令官に。坂本篤は日本海軍副司令官に任命された。
後日、総理からも、日本海軍を頼むぞ。と激励の言葉をもらい、改めて総司令になった事を実感する。
艦隊の各基地への振り分けは、適当に分散させてだけです。




