表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/49

第39話 逆襲のミッドウェー 参

遅くなって申し訳ありません!

タイトルの方を、上・中・下で終わらせるつもりでしたが今回の話を下にぶち込むとややっこしくなると思ったので壱・弐・参・肆のように旧字体での表記に変更しました。



時は、日本艦隊第1次攻撃後にさかのぼる。



場所はミッドウェーより北北西150km高度3000。

数十分に及ぶ監視と飛行により那奈の体は限界を迎えようとしていた。

監視を航続距離、那奈の乗る機体『煌風』がどれほどの性能か推測できない為、米最新鋭機であるF-22がミッドウェーから飛来し交代していた。

ずっと隣の米軍機からの応答要請がうるさい。

従って飛んでるし問題ないじゃないか。と思いながらもしょうがなく通信に応答する。

「なんだ」

一言。

『日本機に繰り返す!応答せよ!聞こえているならっ!・・・て女?』

女性であることに驚いたらしい。軍に女性兵士はいるにはいるが数は少ない、それが戦闘機パイロットになれば尚更だ。

「応答してやったぞ。なんだ」

ここにきても強い口調で返す。流石だ。

『・・・フン。鹵獲された身で粋がるな日本人。言うと通りにしろ、いいな?』

そう言うと、淡々と話し始める。内容はこうだ。

・速度を700ktまで落とし、誘導に従いサンド島への着陸、機体を放棄すること


さぁ、どうするか。そういえば要請に速度を落とせとあった。700ktってのは恐らくF-22の巡航速度だろう。ということは現行の速度だといろいろキツイって事なのか?今は約1100kt。F-22の十八番であるスーパークルーズを持ってしてもこの速度は厳しいってわけか。この機体の最高速度はM4を越えるが、加速中にミサイルを撃たれたら終わりだ。振り切るのは無理か・・・・ならば・・・


この間2秒。


「速度を落とす為に翼を展開する・・・それで私はどうななる」

そう言って左右前後と下方ののF-22を見る。

そう。那奈には下方のF-22も目視で捕らえられるのだ。もちろん裸眼ではない。米F-35には搭載済みの電子光学分散開口システム、略称EO DAS。これに似た日本独自開発のものを煌風には搭載していた。

簡単に説明すると、ヘルメットの内側に機体の外の景色が映る。そのため、キャノピーの透明な部分以外の方向も見えるわけだ。

目視で確認すると同時に目標5機の追尾を開始した。

『さぁな。俺が決めることじゃない』


そう米パイロットが返答した、刹那。

米パイロットの、速度を落とせの命令への返答どうり速度を落とす為に翼を展開する。

だが通常よりもかなりすばやく戻すと同時に操縦桿をめいいっぱい手前に引く。

主翼を折りたたんだ状態から展開した為、空気の抵抗をその分多く受ける。それに加え機首が真上を向き機体下部で空気抵抗を存分に受ける。そのまま回転し機首が真下に来る。と、そこには後方にいたはずのF-22。操縦桿についている機銃のトリガーを引く。2門の10式25mm機関砲がF-22の機体に突き刺さり、そのまま黒煙を吐きながら高度を下げていく。

そう、空気抵抗面を一気に増やすことにより、クルビットという戦闘機動をやってのけたのだ。

通常、推力偏向ノズルが必須な機動だが煌風の前進翼故の高度な失速機動特性あってこその反撃の一手だ。


当然、実戦でそんな馬鹿げた機動を見たことのない米パイロットは何が起きたのか理解できずにいる。撃墜されたパイロットにしてみれば、煌風が目の前から消えたとたん撃墜されたも同然だった。


残り4機。そう言って元いた位置から左右のF-22を睨む。ロックオンすると同時に機体下部前方の爆弾庫から04式空対空誘導弾が顔を覗かせる。1発投下し点火、右方向へ飛翔する。煌風独自のロールランチャーが回転しもう一発の04式空対空誘導弾が発射位置に来る、投下、左方向へ飛翔し右とほぼ同時に命中。2機のF-22は爆散。そして誘導弾発射と同じタイミングで機関砲を発射。前方のF-22を仕留めた。


「あと1機」


下方にいた敵機だ。

『メーデーメーデー!!鹵獲機が反抗!4機やられたっ!バケモンかよッ!!』

かなり慌てているのだろう那奈との回線を開いたまま通信を開始した。

残された一機は急旋回し煌風後方へひるがえる。


しかし。


「無駄な事だ」


既に追尾を開始し、仮称全方位攻撃能力を持つ煌風の前では無力。前方に向けて誘導弾を発射。アフターバーナーを点火し加速する。

これを反転したパイロットが見ていた。

『どこ撃ってんだ!もらったぁ!!』

そう言ってロックオンしようとするが、コックピット内にけたたましいビープ音鳴り響く。

慌てて周囲を見ると煌風が前方へ向けて発射したはずの、04式空対空誘導弾が目の前に迫っていた。

『おい、まじかよ・・』


世界最新鋭にして最高性能、最強を誇った制空戦闘機がほんの1分もかからずに5機が落とされた。たった1機の艦載機によって。


ー帰るかー


そう言って日本艦隊のいる方向へ飛び去る。眼下には真っ青な海面と2つのパラシュートがあるだけだ。





ご意見・ご指摘ご感想等お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ