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第34話 ドイツ後方火力支援任務




作戦発令から1ヶ月。伊600はノルウェー沖での無人機射出、航行及び回収のテストに成功。無事、バルト海へ到着していた。


「現地指揮官に連絡を取りたい」


そう通信士に言ったのは伊600の艦長だ。


「了解です。コンタクトを試みます。・・・・・・きました。回線開きます。


通信士の言葉と同時にスピーカーから爆発音や銃声、砲声、怒号が聞こえてくる


『そちらは誰だ!!』

「日本国海軍所属伊600です。要請どうり支援につきます」

『日本がどうしたって!?』


えらく混乱しているらしく、聞こえないようだ。


「こちら伊600潜水艦だ!貴国からの要請で支援に来たっ!」

『おお!あんたらがか!助かった。上の言ってたことは本当か!』


するとスピーカーの向こうでおおー!と歓声が上がる


「最初に今の戦況を教えてくれ」

『今我々は、コリチン付近の小高い丘の上で陣取ってる』

「敵の位置は」

『フバシュチェボだ。ここからよく見える。さっきから攻撃してるが侵攻が止まる気配が無い!」


艦長はしばらく考えて


「付近住民は避難済みですよね?」

『あぁ、人っ子一人いねぇ』

「敵の規模は?」

『恐らく戦車2個大隊規模だ。独立戦車旅団だろう』

「了解しました。これより支援を開始します」


そう言い通信を切る


「総員。戦闘準備。海面まで浮上。全VLSにSWCMをセット。10発斉射」


遠くに砲声が聞こえるバルト海に漆黒の巨艦が静かに浮上する。時刻が昼なだけに、その巨艦は目立ちすぎる。だが。現在バルト海内に敵艦の姿はない。

悠々と浮上した伊600の上部が稼動しVLSが露出する。


「カウント省略!てぇぇぇぇ!!」


元々弾道弾として設計された衝撃波弾頭だが、その小型版がVLSから発射可能な物だ。小型な分威力は弾道弾のそれに劣る。だが、SLBMと違いこちらは連続発射が可能だ。それで威力の低下を補う。


「全弾発射完了。10基とも巡航モードへ移行確認。弾着まで2分」


ポーランドとベラルーシ国境付近の住民はドイツ、もしくはドイツとの国境付近へ避難したため誰もいない。その上空を空気を振動させながら音速で伊600と同じく漆黒で塗られた巡航ミサイルが飛んでゆく。


「支援はまだ来んのか!通信から数分経ったぞ!」


誰に問いかけているのか分からない問いを叫ぶ。と砲声に混じって微かに音が聞こえてくる。現地指揮官は双眼鏡で周囲上空を見回す。すると超低空をこちらに向ってくる10の光を見つけた。


「来た!!砲撃中止!砲撃中止ぃぃぃ!」


命令を叫び終わると同時に、ドイツ軍の頭上十数mをロシア軍めがけてミサイルが飛んでいく。数秒後、弾頭の起爆と共に光が歪むほどの空気の層が戦車大隊の上空に形成され、地面に叩きつけられる。

周辺の民家、樹木も巻き添えに戦車大隊が消滅する。その威力はすざましい物だった。軽い地震程の揺れの後、周囲の硝子が弾け飛び鼓膜が押される。


「ックソ!耳が!」


衝撃の後、やっとのことで目を開けた指揮官はその光景を目にし、しばらく立ち尽くした。まだ耳がキーンとしている。周囲の音が段々と聞こえてくる。


「隊長・・・・伊600より通信です・・・・」


近くの通信兵が片耳を押さえながら受話器を差し出す。


『敵さんの様子はどうかね』

「あ、あぁ・・・・壊滅だ。あの様子じゃ仮に生きていてもじき絶えるだろう」

『そうですか。良かったです・・・・なに?・・・・・あぁ、すまない。敵さんにこちらの位置がばれたそうだ、また連絡する』


一方的に通信が切られる。


「・・・アレだけの威力のものをひょうひょうと10発も・・・・・・、あの民族は怒らせないに越したことは無いな・・・・・」


改めて目の前の惨状を目にし、震えた声でつぶやく



支援攻撃の後、伊600艦内は騒然としていた。


「恐らくミサイルを感知され、そこから逆算したのかと」

「ばれたもんはしょうがない。総員対空戦闘よぉーい。VLSにSAMセット」

「捉えました。ロシア機です。Su-27、MiG-29の編隊です。数およそ30!」

「攻撃可能範囲に入り次第、SAM20発発射。続けてSQ-Xを出すぞ」

「了解!SQ-X射出準備ー!」


艦内にサイレンが鳴り響き、ミサイルハッチの蓋が開く。開ききったところで先にSAMが発射され目標へ向う


「虎の子の無人機だ。対空装備の奴を10機だけ上げる。射出後潜行。深度100を保ったまま北海へ出る。SQ-Xの航続距離なら北海での回収が可能だ。まぁ、生き残ればだがな。その後は別命あるまで待機」


先行したSAMによって数は16にまで減っていた。SQ-Xが10機射出され、ジェットエンジンに点火。編隊を組んで迎撃に向った。そして伊600は水の中へ姿をくらませた。まだ伊600型を見た外国人はいない。



「くそ!ほぼ半数が今のでやられたぞ!さらに後方にも影がある、もう1波来るぞ!」


Su-27に乗った編隊長が叫ぶ。すると他の機から疑問の声が上がる


「ミサイルにしては遅すぎます。航空機では?」

「ばかか!ドイツは空母なんか持ってない。それに目標艦はバルト海だ!おおかたフリゲートだろう」

「飛行物体から小型の反応が分離!速い!ミサイルです!」

「クソが!!」


ロシア機編隊は四方八方へ散開し回避運動に移った


フレアなどを使いミサイルを回避しきった編隊長が目にしたのは、もちろんSQ-Xだ。


「なんだ、あれは!空母なんかほいほいいるもんじゃないぞ!」

「隊長、もう一つ!バルト海にそれらしき艦影は認められません!」

「あぁぁもうっ!どーなってる!」

「敵機、反転してきます。数10!」


Su-27、MiG-29共に機動性は抜群の機体だが、有人である以上その機動には制限がかかってしまう。無人機であり、さらにそれを操縦するAIが世界最高の人工知能であるSQ-Xには勝てるはずも無かった。むなしく全機撃墜されるも、機関砲でのSQ-X1機の撃墜に成功していた。


SQ-X、ロシア機の残骸はバルト海に沈み。残った9機のSQ-Xは伊600に回収され一連の戦闘は幕を下ろした。






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