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第28話 故意の過ち



中央防衛局 中央作戦司令部


香川総理

「これより第2次米本土攻撃を実行に移す。目標は現在7隻の退役戦艦が運び込まれたノーフォーク海軍工廠だ、完膚なきまでに破壊する。伊号600型両艦聞こえているな?」


伊600艦長

『ええ、ばっちりです』


伊601艦長

『こちらも問題ありません』


香川総理

「では、SWCM及びCTM発射準備。カウントダウン開始せよ」



グアム近海に展開していた伊号600型潜水艦2隻から計5発のCTM、計2発のSWCMが発射された



ピーターソン空軍基地 北アメリカ航空宇宙防衛司令部



米兵

「司令!この前と同じです。数は7」


司令官

「前より少ないか。だが同じ手は食わん。ヴァンデンバーグ空軍基地へGBI発射準備」


米兵

「了解・・・・・・・。レーダーロック。司令、迎撃準備完了しました。最終命令を」


司令官

「撃て」


短く、だがはっきりと命令が下された。米兵はマイクに向って叫び、大きく離れた基地から迎撃ミサイルが放たれた



米兵

「目標到達まで20秒」




中央防衛局 中央作戦司令部


レーダー員

「アメリカ、迎撃ミサイルを発射。衝突まであと・・・12秒」


香川総理

「流石に二回目となるとそう上手くはいかんな」


レーダー員

「4・・3・・2・・1・・0!・・・・・。弾道ミサイル被弾を確認。健在3基」


香川総理

「やられたな」




ピーターソン空軍基地 北アメリカ航空宇宙防衛司令部



米兵

「命中。撃墜4」


司令官

「上出来だ。残りの3基も迎撃しろ」


米兵

「りょうか・・・・!!レーダーから3基の内2基が消えました!」


司令官

「くそっ!ええい、残りの奴を落とせ!!」


米兵

「弾道ミサイル着弾を確認。ノーフォーク海軍工廠に2発とも落ちました!残りの1基も同ポイントへ落下中!」




残った1基の弾道ミサイルはSWCMであった。ノーフォーク海軍工廠上空、高度500で炸裂したSWCMは目に見える程の衝撃波を発生させ、地表に叩き付けた



CTM2発、SWCM1発の攻撃を受けたノーフォーク海軍工廠は、ほぼ吹き飛んだ。しかし4基は迎撃されている為完全破壊とまではいかなかった



中央防衛局 中央作戦司令部


通信士

「総理、1945年8月9日の長崎に捧ぐ、でよかったですね?」


香川総理

「あぁ、それでいい」


通信士

「・・・ん?そ、総理、アメリカ大統領よりテレビ会談の回線が」


香川総理

「・・・・出よう。あ、待て、まだ繋げて無いな?」


通信士

「はい」


香川総理

「航空宇宙防衛作戦室、聞こえるか?」


室長

『ええ、聞こえてますよ』


香川総理

「よし、今から米大統領とテレビ会談をするんだが、日本国民はもちろん。アメリカ国民にも見せることは可能か?」


室長

『はい、天照なら造作もありません』


香川総理

「では、頼む。ばれぬようにな」



香川がモニターに向き直ると敵国のボスの顔が映っていた。



米大統領

『やぁ香川君、やってくれたね』


顔は笑っているが、気が立っているのは手に取る様にわかる


香川総理

「あなたこそ、なんのつもりです?こんな時に敵の長とテレビ会談なんて。自国民が知ったら何を思うか」


米大統領

『そんなこと知ったことか。貴様らは合衆国をなめている』


香川総理

「こちらとしては早期講和に持ち込みたいのですが」


米大統領

『はっ!笑わせる。そんなに講和したいならあなたと、そうだな・・・・ジャパニーズエンペラーにも土下座でもしてもらおうか』


当然、米大統領は日本、アメリカ両国の一般家庭、店頭やビルのモニターに日米首脳テレビ会談が流れていることは知る由も無く・・・・


香川総理

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


香川はモニターから視線を落とし手元を見つめている


米大統領

『お?土下座を考えているのか?いい判断だ。返事に期待しよう』


数分後、香川はようやく顔を上げた


米大統領

『どうだ?土下座する気になったかね?』


香川総理

「大統領。私はあなたに一つ隠し事をしていました」


米大統領

『隠し事?なんだ』


香川総理

「このテレビ会談だが日本とアメリカの画面という画面にリアルタイムで放送しているのだよ」


米大統領

『はは、またそんなジョークを』


その膨れ上がった腹を抱えて笑う


香川総理

「信じないのなら構いません。ですが、一つ認めざるをえない事があります」


大統領は、がはは、と笑っていた顔から一転、神妙な表情に変わる


香川総理

「あなたは選ぶべき言葉を大きく間違った。私の手元には先程のあなたの発言を聞いた日本国民から、次々に思い思いの感情や意見が寄せられています。その中でもダントツで多いのが、我が日本国天皇への無礼への怒りです。踏み入れてはいけない神域にあなたは土足で殴りこんだのです。この意味があなたに理解できますか?」


米大統領

『は・・はは・・・何をバカな、例え貴様らの様な虫けらが束になって掛かってこようがアメリカは負けはしないさ・・・・』


香川総理

「はぁ・・・・。全日本国民の皆さん!これが自身の力量を過信し敵を見ようともしないマヌケの顔です!よーく目に焼き付けてください。ここに宣言します。現時刻を持ってアメリカ及び日本に敵対する国家に対し、専守防衛戦略を放棄、殲滅戦略へ移行します!」



ここで、放送は終わり画面にはそれぞれの番組やゲーム画面が戻った



あのテレビ会談から数日後、香川は多くのマスコミを払いのけ靖国神社へ来ていた



靖国神社 本殿


香川はおもむろに手を合わせ、想う


香川総理

「(祖国に殉じられた尊い神霊の方々、我々の日本は今大きな過ちを犯そうとしております。あなた方が守り、作り上げたこの日本を壊してしまうかもしれません。許してもらおうなど毛頭ございません。しかし我々は進み続けます。どうかm」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


突然、地響きのような轟音が鳴る

地面が、というよりは大気が振動しているような感じだ。そして香川はなぜか空を見上げた、刹那


スパァァァァァァァァァァン


けたたましい高音と共に空を覆っていた雲が放射状に吹き飛び真っ青な空が地上を覆わんばかりに顔を覗かせる。

香川は核攻撃かと疑ったが何か違うと感じ取ったらしい。その場の誰もが突然起きた不可解な現象に言葉も発せず、眼球を動かすことすら出来ず空を凝視していた。そしてまた変化が起きた


太陽は東の空にあるにもかかわらず靖国神社の真上に発光が生じる

その発光体はあたりを真っ白に照らした。とても人が直視できる光では無い、しかし皆目を逸らせない。

数分か、あるいは数十分か地上を照らし続けたその発光体は高度をゆっくりと上げ縮小し消えた。


金縛りから開放されたかのように一斉に我に帰る


香川総理

「・・・・・・・・」


先の現象が何なのか、何者の仕業なのかは分からないが、香川の中には確かな使命感と自身に満ち溢れていた・・・・






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