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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第三章 双子とアメジーナの秘法》
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狙いと餌

  家名を告げたアルタットたちの決意に反して、フィリアの反応はとぼけたものだった。


「はあ…、どこかの金属と同じ名前なんだ。珍しいね?」

「なんだよその反応っ。そうだよ、その金属に関係してる一族なんだよ、俺たちは」


 やっとの思いで話したことに対してあんまりな反応にアルタットが肩を落とす。

 彼のそんな様子は放っておきながら、フィリアたちは事実の真偽を確認することにした。


「やはり家名からして無関係ではないのですね」

「メイちゃん、ほんとに?」

「……ほんと」


 アルタットに続いてメイルディアも認めることからも、ひとまず無関係という線は外した方が良さそうだとふたりは判断した。


「だとすると、追われてるっていうのも納得かなぁ。アメジーナ赤鋼鉄が関係するってなると、まさに金のなる木みたいなもんだもんね」

「ええ。しかも最近はアメジーナ赤鋼鉄に注目が集まっていますから尚更でしょう」


 レミアータの言葉にフィリアはブルガリ商会から聞いた話を思い出した。

 注目が集まっていると言っていたが、今回の件とタイミングが合いすぎている。彼女はそこに何か作為的なものを感じた。


「………、ねぇアルくん。最近、アメジーナの一族がアメジーナ赤鋼鉄について何か外部に漏らしたって話は聞いてる?」

「そんなん知らねぇよ。それに、アメジーナの一族はもう俺たちふたりだけしかいないんだ」

「あ…、そう、なんだ」

「別にフィリア姉ちゃんが気にすることじゃねーよ。いちおー理由わけだってあるんだしな」


 まずい事を聞いたかと気まずそうな表情かおになったフィリアをアルタットがフォローする。

 兄の言葉に同意して、メイルディアも何度も首を縦に振っていた。


「えと、ありがとう。……でも、だとするとちょっと怪しいかも」

「あやしーって何がさ」

「誰がか意図して情報を流した、とフィリアさんは考えているんですね?」

「はい。本当に偶然なのかもしれません。でも、なんだかタイミングが合いすぎてて不自然な気がするんです」


 顎に手をあててフィリアはいくつかの可能性を考えた。タイミングと状況、そして敵の狙いを想像する。

 とりあえず一番可能性がありそうなものを彼女は自信なさげに呟いた。


「情報を囮、にしたのかもしれません」

「囮、ですか?」

「はい。元々、アメジーナ赤鋼鉄の製作者については各商会の方でも密偵や冒険者に依頼して探っていたところが多いんです。

 今回の件の黒幕がどこからかは分かりませんが、アメジーナ一族のことを見つけたとします。

 普通ならば専属契約の話を持ちかけるところですけど、その犯人たちはアメジーナに子供しかいないことを知ると、契約するよりも…」

「なるほど、攫ってしまえば契約もなにも関係無いというわけですか」


 騎士としては到底許せるような話ではない予測にレミアータが静かに怒りを燃やす。


「はい。しかし、犯人たちは騒ぎを大きくしたくはなかった。もし派手に動けば、アメジーナ赤鋼鉄の製作者を探す他の人間に嗅ぎつけられることもあるでしょう。

 故にカモフラージュのための餌を撒いた。それが素材のひとつの情報です。

 探索者たちはその情報を依頼主の元に持ち帰ることになります。そして各商会は情報の真偽を判断するために動くでしょう。

 ここで探索者と商会の動きが別の方向にいったところで、犯人たちは本当の狙いであるアメジーナ一族の奪取に動いた、といったところかもしれません」

「探索者たちは、情報の真偽について確かめるために動いているから、アメジーナ一族の方に目が向かないということですね。なるほど、可能性としては有り得ますね」


 レミアータは吐き捨てるようにそれだけ述べると、気に食わなそうに眉を顰めた。


「そうだとすれば、これは騎士の動く理由になります。――アルさん、メイさんも安心してください。この件については騎士団も動きますから」


 他国は別としてもリフェイル正統王国では誘拐、人身売買は認めてられておらず、犯した場合は重罪だ。

 法を犯している者がいる可能性がある以上、これは騎士団を動かす理由になる。

 レミアータに優しく微笑みかけられて、アルタットたちは先程までの緊張続きだった様子から、どこか安心したような表情になっていた。

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