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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第三章 双子とアメジーナの秘法》
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贈られた物

  フィリアは今、自室のベッドの中にいた。

 その手の中には黒い革製のベルトが握られている。

 服を固定しながら、同時に武器なども掛けられるようになったそれは、冒険者ならば誰もが似た物を所持しているはずである。

 しかし他の物と違うのは、ベルトの装飾に赤い魔石がいくつかと美しい意匠が施されているところだ。その赤い魔石はかなり良質な物らしく、繊細なデザインと合わさって普通に買うとなると相応な値段がするだろう。

 そんな高級品を眺めながら、フィリアが困ったように呟いた。


「……お返しにって貰っちゃったけど、どうしようかな。こんな高そうなの使ったことないからなぁ…」


 これをプレゼントしてくれたのは言わずもがな、今日遊びに来たシャールロットだ。

 フィリアが同じことを考えたように彼女もまた、自分がしばらく国から離れるということになったので、友人に何かを贈りたかったらしい。

 それで突然遊びに来たというわけだ。今日を逃すと出立まで私的に遊びに来る時間が取れなくなるそうで、そうは見えなかったが焦っていたのだとか。

 あとで自分がサプライズを仕掛けようとしたところ、逆にフィリアからサプライズを受ける形となって思わず嬉しくなりすぎたとも言っていた。


「うーん、やっぱり折角貰ったものだし、付けて行こうっ」


 そもそもシャールロットが普通の装飾品をプレゼントしなかった理由は、フィリアが店を経営していて動き回っていることに加えて冒険者であることも考慮してだ。

 装飾品の類は動き回ることが多い彼女には、普段使いは難しいとの観点から冒険者の時でも使えて、普段でもオシャレに使えるこのベルトをプレゼントしようと考えたらしい。

 ならば今度の採掘依頼のときにでも早速使ってみるのがいいだろう。そしてその使い心地を今度シャールロットが帰ってきたときに話すのがプレゼントしてくれた相手へのお返しになる。


「そうと決めたら早速、すぐにでも使えるように色々整備しなくちゃ」


 こういう装備類は使用者の癖が出やすい。

 いざというときに使い慣れていなくて、では命に関わることもあるので冒険者たちは装備の点検や整備には常に慎重だ。

 フィリアも例外ではなく、使用武器の短剣や杖はもちろん、靴からローブに至るまで専用にカスタマイズしている。


「あー、となるとちゃんとした装備で合わせないとダメだよね」


 そのまま寝ようかと思っていたが、やることを放置したまま眠る気にはなれずにベッドから降りて、冒険用装備を整えるために立ち上がる。

 そうして、クローゼットから装備一式を取り出して着替え始めた。


「んー…? あれ? ここ最近お店のことだけやってて着てなかったけど、また痩せたかも…?」


 若干、前に着たときよりも服に余りが出来ている気がする。

 フィリアは小柄だが、それを引いても少々痩せすぎだと周りからは言われていた。


「これはちょっとまずいかも…」


 前に使っていたベルトの穴が1つ分きつく締めて丁度良い。

 これはちゃんと管理しないとネイトにあとでうるさく言われると引きつった表情になる。


「はぁ…。ご飯、もうちょっとちゃんと食べよう」


 最近は店の在庫管理やら薬の調合やらで食事も摂らない場合が多かったことが大きな原因だろう。不規則な食生活は身体にも良くないため、ひとりで反省する。


「まぁ、そのあたりはこれからってことで、今はベルトの調整しちゃおうかな」


 数追ほど反省会を開いたが、今の時間はもう遅いということもあって整備を早く済ませて眠ることにした。

 シャールロットから貰ったベルトを手に取って腰周りに通していく。

 丁度良いところでベルトを固定し、付属の器具を取り付けて短剣と杖を試しに下げてみた。


「……ちょっと緩いかな」


 身体を軽めに動かして、様子を見ると少し緩いようで武器などがいつもの取り出しやすい位置からズレてきている。

 もう一度ベルトを調整し、先ほどよりもきつく締めた。


「うん、良いかもっ」


 思った通りの位置にきたのか、フィリアは満足そうに頷くとその場所に軽く折り癖をつけた。

 そうしてベルトを取り外し、他の装備品と合わせてクローゼットの保管場所に大事に閉まっておく。


「……それにしてもあのベルトの魔石。なんか変な感じしたけど、なんだろう?」


 別に嫌な感じがしたというわけではない。おそらく魔力に敏感な魔法使いであるフィリアだから気付いたと言える程度のものだ。

 受けた感覚からしても悪い物ではないと判断したフィリアはひとまず気にしないことにした。


「まぁ、念の為に明日もう1回確認しようかなぁ」

 

 明日も朝早いと、フィリアは再びベッドの中に潜り込んだ。

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