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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第二章 王女様とレイビィトの霊薬》
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複数の仮面

「何者ですか?」


 レミアータが突然現れた人影に油断なく問う。

 闇から現れた人影の数は5つ。

 その全員が同一の仮面をつけているため顔は見えないが、体格から男女入り混じっていることは分かる。


「…………」


 問われた影たちは、しかし何も答えない。

「答える気はない、ということですか」

(それとも答えられない、ということかもしれませんが)


 しかし、どちらにしても構わないとレミアータは剣を抜く。背後には自身が護るべき対象フィリアがいる。

 相手の殺気が自分にしか向いていないことから、狙いはフィリアだろうと判断した。

 自分を殺すことが目的とするには、この身には価値が無さすぎるとレミアータは考えているからだ。


「フィリアさん。いけますか?」

「……はい」


 目の前の敵が相当な実力者たちであることを肌で感じ取っているフィリアも緊張した様子で応える。

 しかし緊張と共に戦闘の覚悟を決めた声にレミアータは視線を前に向けたまま頷いた。


「―――来ますっ」


 レミアータの声を合図に影たちが一斉に動き出した。

 その速度はまるで魔法をかけたかのような疾風。

 動き出した敵に僅かに遅れ、フィリアが呪紋を紡ぎだす。


「エラス アルゥ! 風よ、我らの身にっ」


 詠唱を複数に設定。風がフィリアとレミアータの身に巻き付くように加護を与える。


「ふっ」


 近づいてきた影のひとり目を構えた剣で迎撃する。


「…………」


 振られる剣、普通ならば避けられないその一撃を、しかし影は空中で体を捻るようにして躱す。

 勢いをそのままに影が腰から小型のナイフを取り出し、レミアータに斬りかかる。


(まずい――っ)


 カウンターで攻撃を与えようとする影の動きに戦慄を覚えるレミアータ。

 しかも小型ナイフには恐らく毒が塗ってあるのであろう。薄く黒い液体が塗られているのが見えた。


「レミさんっ、左に寄って!」


 後ろから聞こえた声に、考える前に体が動く。

 無理矢理に体を左に傾けると、その間を縫うように一本のスローイングナイフが直線の軌跡を描く。


「………っ」


 空中に浮いたままの影はその攻撃で体勢を崩されるが、ナイフを紙一重で弾いた。

 しかしそこにできた大きな隙を見逃さず、レミアータが一歩大きく踏み出して剣を振るう。


「はぁ!」


 入ったっと確信したが、そこに割り込む影がひとり。

 響き渡る甲高い金属音。


「ちっ」


 鍔迫り合う剣とナイフ。レミアータは思わず舌打ちをする。

 力で押し合うが、そこに背後から三人目の影が迫る。


「っ!」


 瞬間的に剣を引いて、目の前の影のバランスを崩すと、そこに素早く刃を返して入れる。

 最初に迫ってきた影がそれに対応するように前に出てナイフを振るうのに剣を合わせた。


「………!」


 影が驚愕する雰囲気が伝わってくる。ナイフにわざと弾かれるように振るった剣の勢いを殺さずに、弾かれたまま後ろに下がり三人と無理に距離をとる。


「はぁ…はぁ…、……ふぅっ」


 荒れる呼吸を静かに整えて正眼に剣を構え直した。


(フィリアさんは…!)


 油断なく状況を探りつつも、視線をすぐに自身の護衛対象に向ける。

 向けた視線の先から、人がレミアータの方に向けて飛ばされてくるのが見えた。


「フィリアさんっ」

「……っ、大丈夫ですっ!」


 フィリアは飛ばされたまま空中で姿勢を立て直し、両足を地面に押し付ける。そのまま数メートル地面を滑るが、止まると同時に体勢を立て直した。


「この人たち、強い…」


 数歩下がり、レミアータに背中を預ける形で目の前の影ふたりを睨みつけるも、影たちは何の反応も返してこない。

 驚きの雰囲気などから感情はあるようだが、声を出すようなことはしないらしい。


「戦闘音は聞こえているはずです。もう少し持ちこたえられれば、誰かが気づくはず」

「はいっ。なんとか持たせます」


 ふたりは五人に囲まれながらも背中合わせに頷いた。

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