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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第二章 王女様とレイビィトの霊薬》
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負傷

  流星のように空を駆ける光の線が周りの騎士目掛けて飛んでくる。

 指揮をとっていたカイオールやその横で応戦にあたっていたジルオニクスは術の予備動作がすぐに分かったことと、近くに盾持ちが待機していたことが幸いした。

 号令を出すのと同時にすでに走り出していたふたりは盾持ちの騎士の後ろに回り込む。

 そうして数追の内、まるで金切り声のような甲高い音が響き渡りそして、あたりは白で埋め尽くされた。


「くおぉ……っ!」

「ゲインっ」


 盾持ちの騎士のひとり、ゲインの口から声が漏れる。

 光弾の威力は凄まじく、抉れた地面の破片がそこらを飛び交っていた。


「はぁ…っ、はぁ…っ」


 やがて光が収まった頃にはゲインはすでに息を荒げていた。


「皆、無事かっ」


 最初にカイオールが行ったのは全員の安全確認だった。

 焦りを帯びた声で叫ぶ彼の姿は、常ならば見ることなどできない様相である。


「こちらフレオっ。カミラ、リエイト、ブルーミルド共に無事です!」


 煙の晴れない中、報告がなんとか帰ってくる。

 しかし、未だ全員ではないため安心はできないとカイオールは覚悟を決めていた。


「こちらはラインハルト、ヴィルは無事だが、レレが負傷っ」


 負傷の声に覚悟はしていても顔を強ばらせるカイオールは叫ぶ。


「状態は!?」

「左足に重度の火傷あり、戦闘続行は厳しいと思われます!」

「すぐにレレを戦線から離脱させろっ。レミアータ、上級治癒薬の用意をしておけっ」


 了解、との返答を確認してから他の者の安否を再び尋ね始める。最終的にアルソーブ、バラッツの計三名が軽傷か重傷かは別として戦闘負傷者として後方でフィリアの護衛にあたっているレミアータの下に運ばれた。

 軽傷ならば中級治癒薬を飲めばすぐにでも戦線復帰できるかもしれないが、重傷となるとそうはいかない。

 上級治癒薬はその効果も目覚しいが、治癒までの体力の消耗が非常に多く、傷が癒えてもすぐさま動くことができないからだ。


「まずいな、早めに作戦を実行するしかないか…。フィリアちゃん、ネイト、コルベ、頼むぞっ」


 カイオールが呟いた頃に煙が晴れ、そこには未だ健在のグランレイフィオの姿があった。



  前線から少し離れて後方支援にあたっているフィリアは今、光を纏っていた。

 纏うのは《グラァー》の呪紋陣。凍結の力を宿した呪紋はフィリアを青白く染めている。

 周囲は先に張っておいた中級の結界陣のおかげで直接的に光弾が飛んでくるならばまだしも、割れて飛んできただけの地面の破片程度ならばびくともしなかった。

 しかし前線の様子はここからだとよく見えてしまうため、フィリアは魔法に集中しながらも皆の安否が気になって仕方がない。

 そして煙の中から運ばれてくる三人の騎士たちを見て、表情を歪めた。


「フィリアさんは魔法に集中して下さい。それが今、貴女にできることです。怪我人はこちらで対処しますから大丈夫です」


 焼け爛れたレレの左足を手当しつつ、上級治癒薬を取り出してゆっくりと飲ませているレミアータがフィリアの方を振り向かずに、しかしそのはやる気持ちだけを諌める。

 盾持ち騎士のコルベもまた、万が一に備えて盾をフィリアの前に展開しながらも軽く頷いて安心するように促した。


(私にできること…。今はこれだけを全力で…っ!)


 皆に励まされて、フィリアはさらに集中の度合いを高めていく。

 より強い光に包まれる彼女を横目にネイトが今回の作戦のもうひとつの鍵となる物の準備を始めていた。


「これが成功すれば、一気に戦況は逆転する…。頼むぞ、フィー」


 彼の腕に抱えられていたのは剣ではなく、いくつかの大きな麻袋だった。

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