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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第二章 王女様とレイビィトの霊薬》
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塔の1層、その様子

 知人に色々とご指摘いただいたので、近々少し前の部分を手直し致します。

大掛かりな変更ではないので、問題ないかと思いますがここにて事前のお知らせとさせて頂きます。

「休憩はここまでだ。これより、塔の内部に突入する!」


 カイオールの号令と共に荷物を持って立ち上がる騎士たち。それに続いてフィリアとレミアータも立ち上がる。短い時間の休憩だったとは言え、合わせて昼食も済ませたので足を休めるにも充分だった。

 現在の時刻は13の刻を過ぎた頃合だ。これからまずは一度だけ塔に登り、スレイフォンレイブを総出で探すことになる。上手く見つかればいいが、騎士たちの疲労具合を鑑みておそらく探索は遅くとも21の刻には終わるだろう。それから宿屋に戻る予定で動くとカイオールが知らせていた。

 塔の入口に向けて進む一行の真ん中あたりを歩きながら、フィリアは記憶を掘り出すように思案する。


「リュリダーヒロビアの塔、かぁ。いつぶりだっけ、ネイト?」

「そうだな…。フィーと一緒にとなると、そっちが学生の頃で自習を兼ねて来た以来だから1年半ぶりくらいじゃないか?」

「おふたりとも経験者ですか。それならひとまずは安心ですね。しかし1年半前となると、フィリアさんが知っているのはまだ階段での移動だけのはずですね」


 いつの間にやら隣に来ていたネイトに質問するような形で問いかけるフィリアに懐かしそうに目を細めながらネイトは答える。そんなふたりの話を聞いていたレミアータが感心したように頷いた。


「え? もしかして今は違うんですか、レミさん?」

「はい、ネイト殿は知っていらっしゃると思いますが、現在は転移陣での移動が可能になっています。もっとも踏破した階層だけではありますが」

「あれが出来てからは随分と楽になったものだ」


 転移陣と聞いてフィリアは目を丸くした。

 転移は空間系魔法の中でも最上位に入る難易度の魔法だ。それは瞬間的に移動するただの転移での難易度であって、それ自体を陣にして効果を固定するなど並大抵の腕ではない。それこそ大陸を代表するような天才的な魔法使いの所業である。


「え、でも踏破した階層だけって言っても新しく踏破したところはどうなるの? 新しく陣をひいてもらうわけにもいかないんじゃ…。それだけの腕の魔法使いなら至る所に引っ張りだこでしょ?」

「それがな、その陣を作った魔法使いは予想以上の天才だったらしい」

「こちらも聞いた話だけですが、なんでも特殊な詠唱をするとすでに起動している陣と同期して繋がるらしいですよ」


 レミアータが続けた内容に、フィリアはさらに驚きに目を見開いた。


「すごいっ。つまり詠唱自体を起動キーと暗証キーにして、他の魔法使いでも陣を起動できるようにしてるんだ! 一体どんな人が考えたんだろう…」


 理論自体は昔からあったのかもしれないが、それを実現してしまうとなるとまた別の話だ。それを成した顔も知らない魔法使いに憧憬の念を抱くフィリア。その彼女の様子にレミアータとネイトは苦笑する。


「なにはともあれだ。まずは中に入って実際に見てみればいい」

「うん、そうするっ。レミさんも教えてくれてありがとうございますっ!」

「いえ、お役に立ててなによりです」


 可愛い妹を見る姉の心持ちとはこのようなものなのかもしれないと感じながら、レミアータは優しげに微笑んだ。


「よしっ、それではこれより塔の内部に入る。ここからは魔物も出てくるから、各員油断するな」


 ちょうど話がひと段落したのと合わせて、カイオールの声が届いた。三人がほかの騎士と同様に視線を前に向けるとそこには巨大な扉がある。神が通るための大きさだと言われているその扉こそが塔の入口だ。扉には結界が張られており、並大抵の魔物はそれを通ることも叶わないために余程強力な魔物でもない限りは町に出てくることもない。


「皆、協力を頼む」


 カイオールの隣に並び、ジルオニクスが再度告げる。その声と表情に騎士たちが重々しく頷き、雰囲気がより一層引き締まった。


「それでは、突入するぞ」


 そうして開かれた扉をくぐり抜けると、そこは遥か先に向かいの壁が見えるほどの広大な空間とそれに見合うような鬱蒼うっそうとした樹海が広がっていた。

 『リュリダーヒロビアの塔』、世界に6つ存在する最大最高峰の大迷宮が1年半ぶりにフィリアの前に姿を見せる。圧倒的とすら言えるその空間の中心部に螺旋状に階段が上へと伸びており、それを登ると次の階層に到達できるのだが、階段に近づくほどに敵を強くなるので上階へ登るのも一筋縄ではいかない。


「相変わらず…、すごいの一言だよ…」


 思わず呟く形でフィリアは前を見据える。前は3層まで踏破したところで引き返す形になったが、今回は転移陣を使って一気に12層まで上がるのだ。自身の力量が通用するのか分からないが、油断だけはしないようにしなければと気を引き締めた。


「予定通り転移陣で移動する。各自、それぞれ三人一組となって行動しろ」


 了解と言う声が響き、騎士たちはすぐさま力量ごとにすでに振り分けてあったらしい組み合わせになる。

 フィリアのチームはレミアータとネイトで三人だ。カイオールはジルオニクスの方に付いており、万が一に備えているらしい。


「陣にて12層まで移動後はその場で待機。全員揃ったのを確認してから探索に移行する」


 移動後の指示を与えてから、一行は扉から左方向に進んでいく。するとその先には詰所のような建物が立っており、何人もの兵士が詰めているのが分かった。


(あそこに転移陣が…)


 フィリアはまだ見ぬ塔の上を思い、不安と期待に胸を膨らませた。

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