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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第二章 王女様とレイビィトの霊薬》
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待ち人たち

 雑貨屋シリーズということで、魔法使いの雑貨屋~番外通り~も投稿を開始しました。

もし宜しければ、どうぞということで。

 日が傾き始めた帰り道。

フィリアが『フルハーモニー』が見えるところまで来ると、その前にふたりほど人影が立っているのが見えた。


「誰だろう? 今日は仕入れのためにお休みですって事前に連絡してたからお客様のわけないし…」


不審に思って、慎重に近づいていくと人影の片方はよく見知った人物だった。


「ネイト? どうしたの、今日はお休みだって連絡したはずだけど…?」

「フィーかっ! いや、知っていたんだがちょっと急ぎの用でな。中にはいないようだったから店の前で待たせてもらっていた」


フィリアが驚いて声をかけると、ネイトがどこかバツの悪そうな様子で応える。


「悪いんだけど、挨拶が済んだなら中に入れてもらってもいいかな? 少し込み入った話があってね」


ふたりが話している横から、もうひとりの男性が口を挟んできた。

服装からして騎士団の人間のようだが、飄々とした口調とは裏腹に立ち姿に隙がないところを見ると相当な実力者のようだ。

並んでいるところを見ると背がネイトより高く、容姿もとても整っている。人好きしそうな雰囲気を纏っているが、その目だけが鋭い光を宿していた。

しかし、いくら騎士とはいえども名も知らぬ男性を家に入れるわけにはいかない。ネイトが連れてきたので身分は確かなのだろうが、ひとり暮らしの女性としては警戒しすぎていけないということはないだろう。


「あ、はい、すみません。あ、わたしはフィリア=グランツェリウスと申します。お見受けしたところ、貴方様は騎士様のようですが、もし宜しければお名前をお聞きしても…?」


フィリアが尋ねると、男性の騎士は驚いたように僅かながら表情が変わった。


「これは申し訳ないことを。女性に先に名乗らせるなんて騎士の名折れだったね。俺はカイオール=フォーストリア。これでも王宮騎士団の副団長をやってるんだ」

「副団長様!? あ、えと、先程は失礼な真似をしてしまって…」

「いやいや、こっちから名乗るべきだったんだ。こちらこそ申し訳ないね。それと俺はカイオールと読んでくれて構わないよ、可愛らしいお嬢様」

「か、かわっ!? ……ええっと、その…、では、カイオール様とお呼びさせていただいても?」


それで構わないよと、カイオールは了承の意を伝える。ネイトはそれが済むのを待っていたようで、ふたりの話が済むと店の中に入れてくれるようにフィリアに頼んだ。


 ◇


「それで、お話というのは…?」


ひとまず彼らを家に招き入れて、リビングに通すとお茶の準備をしたフィリアがそれを配る。そうして、自分も席についてから口を開いた。


「そうだね。それじゃ、ネイト君、少し頼まれてくれるかな? 彼女も親しい友人の方が最初は話しやすいだろうしね」

「……はぁ、分かりました。それではフィー、いきなりで申し訳ないと思うが、今回は頼みたいことがあるんだ」


カイオールのこの軽そうなノリに対してはネイトはもう慣れているのか、特に抗議もなく話を始めた。


「頼みですか? 騎士団の方がいらっしゃってまで頼みというのは一体どのようなことでしょう?」


最初こそ思わずだったが、一応今は他人の目があるので今更ではあるがネイトに対しても丁寧に話すフィリア。ネイトもそれは分かっているためにそのことに対しては何のリアクションもなく、そのまま話を続けようとする。

しかしそこで、カイオールがまたもや口を挟んできた。


「フィリアちゃん、いつもどおりでいいよ、話し方はね。君たちが友人だっていうのは知ってるんだ。王宮とかなら気を付けるべきだけど、今は気にしなくていいよ。俺も気にしないからね」


そういって女性なら誰もが赤くなってしまうような柔らかい微笑をたたえて、彼はフィリアを見る。さすがにフィリアもこの微笑には少し顔を赤くするも取り乱すことなく頷いた。

その様子にしかし、ネイトだけが若干顔を顰めていたが、フィリアはそれに気づかなかったしカイオールはあえて流している。


「続けていいか? それでだ。頼みたいことなんだが、これは極秘のことだ。それこそ国が関わっているほどにな」

「くっ、国!? そんな大事おおごとなの!!? え、でも国が秘密にしてるようなことで、ほんとに私に一体どんな用が…?」


急にスケールの大きくなった話にフィリアの腰が一気に引けて逃げたくなったが、ネイトとカイオールの視線がそれを許さない。

早々に逃げたり断ったりという選択肢を諦めてフィリアは先を促すことにする。どうせここまで来たなら逃げられるはずもないとは分かりきっていることであったのも、判断に上乗せされた理由だったが。


「フィリア、どうか俺たちと共に王女殿下を救うのに力を貸してほしい」


しかし覚悟はしていたが、自身の想像の斜め上の頼みごとにフィリアは一瞬だったが意識がとんだ。

 次回は番外通りを更新予定です。

そのため本編更新が明後日になるかもしれません。進み具合にも寄りますが…。

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