雑貨屋『フルハーモニー』開店 その1
筆者、初投稿&初作品ですので到らぬ点が多いと思います。
批評等も頂けましたら直していこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
いつも通りに外から聞こえる馬車の音。
城門が開いてすぐに行商人たちが荷物を運んできたのだろう。
あたりはまだ薄暗い。
時刻は普通に起きるにはまだ早いが、商人にとっては起床の時間。
お店を整え、完璧な状態でお客様が来店するのを待たなければならないからだ。
ここはリフェイル正統王国。
その王都ミュントイルスの一角にある、とある雑貨屋『フルハーモニー』でも、その例に漏れず店主の少女がベッドから這い出てきた。
「うぅ~、ざむい~…」
ベッドから這い出て体を震わせるのは、黒髪黒目で15歳程度の少女。
『フルハーモニー』の店主、フィリア=グランツェリウスである。
まだ春になったばかりで、肌寒さが残るこの季節。
フィリアはベッドを恋しそうに見つめるが、開店前までにやることがたくさんあるので、さっさと身支度に取り掛かった。
◇
「お店の掃除よし! 商品の補充も大丈夫! 時間もぴったり!」
そう言って元気いっぱいに声を出し、扉にかかっている表札をひっくり返してOPENに変える。
すでに時刻は朝の10刻を刻んだ。一日を24の刻に分けているこの世界では、大抵の店がこの時間に開店し始めるのだ。
店を開けたフィリアは、店内でさっそく店番を始めた。
それと同時に在庫表のチェックと、これからの仕入れ表を眺めて今後の計画を練っていく。
仕事をいくつも同時にやらなければならないのは、『フルハーモニー』の従業員はフィリア一人だけだからである。
仕入れ表を確認している途中で、フィリアは一度扉の方をチラッと見て呟いた。
「今日こそはきっと売れるはずだよね。昨日、中央通りでチラシも配ったんだから……」
そう、『フルハーモニー』では店主がフィリアになってから客が、片手で数える程しか来ていないのだ。
先代店主である父が亡くなってから、フィリアが店を継ぐまでに少し期間が空いたのが、大きな原因だった。
そのせいで常連客の人たちも店そのものがなくなったと思ったのか、買い物に来てくれることがなくなってしまった。
このままでは店が本当に潰れてしまう…。
そう考えたフィリアは、昨日なけなしのお金を使ってチラシを作り、それを街のメインストリートである、中央通りで配ってきたばかりだった。
「絶対に来てくれる、うん、大丈夫。大丈夫」
他に誰もいない店内で一人小さく呟き続けるフィリアは、誰がどう見ても不審者にしか見えなかった。