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またいつか一緒に【リレー小説第二話】

作者: 日下部良介

これは聖魔光闇先生の企画したリレー小説の第2話です。 今回は、設定事項を用意しました。以下の内容に添って、執筆お願いいたします。


リレー小説(第二弾)設定・注意事項


 ★全40話

 ★一話2000文字以上

 ★登場人物数制限なし

 ★ファンタジー要素無し

 ★SF要素無し

 ★地の文は主人公視点

 ★重複執筆可

 ★ジャンルはその他

 ★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)

 ★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください

 ★執筆投稿後、必ず御一報ください

 ★あらすじは、前話までの要約を明記

 ★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します

 ★後書きに執筆著者様募集広告を添付


  よろしくお願いいたします。


【第二話 復讐心】


 まさに悪夢としか言いようがない。 僕は不幸な事故で右腕を失い、その影響で両下肢不随となった…。


 車椅子での生活を余儀なくされた僕のために、親が1階の納戸を改築して俺の部屋にしてくれた。

 机に向かって、届けられた卒業アルバムを開いた。 優、来栖、勝俊、三日月の気取った顔がムカつく。 集合写真には僕を中心に優と来栖が右側に、勝利と三日月が左側にいて四人で同じポーズを取っている。 その写真の自分の姿にイラついて、思わずアルバムを机の上から払い落した。 そして、机を思いっきり蹴飛ばした… はずだった。 意識とは裏腹にピクリとも動かない机を睨みつけた。

「クソッ! ざまぁねぇ。 これも全部あいつらのせいだ」

 床に落ちたアルバムは、奇しくも智哉たちのクラス、3年1組のページが開かれていた。


 復讐…。 生きる希望を失った僕に生きる気力を保たせているのはあいつらに対する復讐心。 しかし、どうすればいい…。 こんな身体じゃ直接手を下すこともできない。

 そんなある日、ボクの一番の親友… (いや、今となってはいちばん憎らしいヤツだが)の優が遊びにきた。

「よぉ! 具合はどうだ?」そう言って部屋に入ってきた優の後からもう一人入ってきた。 恥ずかしそうに下を向いて、優の服の裾をつまんでついてきた。 部屋の入ると優の隣に座って長い髪をかきあげた。

「今までごめんなさい。 会うのが怖くて…」彼女はそう言って僕に向かって両手を合わせた。


 若宮(わかみや)(はるか)。 僕の彼女だ。

 事故に会って以来、初めて顔を合わせる。 彼女が心配していたことは優からも聞いていた。 何度か電話もあったが、僕は自分のこんなみじめな姿を見せたくなくて『まだ会えない』と一言だけ言うと電話を切るだけだった。 優達が彼女にどんなふうに僕のことを話したのかは分からないが、きっと彼女も、こんな僕の姿を見て冷静でいられる自信がなかっただろう。

 ヤツらへの復讐心のおかげで遥のことをすっかり忘れていた。 いくら、恋焦がれていても僕のこんな姿を見たら、彼女だってすぐに離れて行ってしまうだろう。 中途半端な期待など最初からしない方がいい。 裏切られるのはもうたくさんだ。


 彼女は最初、恐る恐る僕の方を見ていたが、すぐに安堵の表情を浮かべた。

「北口君から聞いた話より、ずっと、いいみたいね」 彼女の言葉に僕は思わず苦笑いした。 『こいつらにどんな話を聞かされたのか知らないが、ずっといいって、お前はどんな想像をしていたんだ』 心の中ではそう思いながら彼女に向かって作り笑いをした。

「よかった。 僕のこんな姿を見て遥がショックを受けたらと思うと僕もなかなか決心がつかなくて…。 でも、1日だって遥のことを思わない日はなかったよ」 僕は彼女の… いや、二人の反応を観察しながら本心とは裏腹の言葉を投げかけた。

「本当? 私もそう。 ずっと神様にお祈りしていたわ。 これからはちょくちょく寄らせてもらってもいいかしら?」 遥は僕の目を真剣に見ながらそう言った。 どうやらその言葉は本心から言っているようだった。

「ところで、リハビリの方はどうなんだ? 医者はひどいことを言ったらしいけど、諦めなければ奇跡だって起こるさ。 お前がよくなったら、また一緒にストリート(バスケ)やろうぜ!」 優はそう言ってポケットからタバコを取り出すとライターで火を付けた。

「優、お前、結局辞められなかったんだな」 僕はそばにあった杖を拾い上げると、窓の方へ向けて手を伸ばした。 杖の先でロックを外し少しだけ窓を開けた。

「へーぇ、器用だな」優はそう言うと、開けられた窓の方に向かってタバコの煙を吐き出した。

「まあな。 ストリートか… やりたいな」


 小学校の頃からずっと同じクラスだった優とは、何をやるときも一緒だった。 少年誌のバスケットボール漫画がテレビアニメになって爆発的な人気になった時に二人は近所の公園のバスケットボールコートで暇さえあれば2オン2をやっていた。


「あら、バスケットボールなら車椅子でも出来るじゃない! 私、一度、車椅子のバスケットボールの試合を見たことがあるけど、みんな車椅子とは思えないくらいすごいスピードでプレイしてたわ。 そこまでになるのは簡単なことじゃないかもしれないけれど」 遥はそう言って、僕に希望というか何か目標を持ってもらおうとしているようだった。

「そうだな! それはいいアイディアだ。 今からちょっと出かけようぜ」優はそう言うと、部屋の隅に転がっていたバスケットボールを手にした。

「おい、本気なのか?」僕は気が進まなかった。 どうせ、僕の無様な姿を見て笑おうと思っているに違いない。 この時はそう思っていた。

「そうね。 私が車椅子を押していってあげるわ」遥はそう言って立ち上がると、僕の後ろに回った。 優が部屋のドアを開けると、遥は車椅子を押して部屋を出た。

「あら? でかけるの?」 台所で夕食の支度をしていた母親が顔を見せた。

「はい。 お母さん、久しぶりに智哉と一緒に行ってきます」優はそう言って、母の方にバスケットボールを掲げて見せた。

「まあ! 智哉に出来るかした?」母は心配そうな表情を浮かべながらも、優に任せておけば安心といった感じで見送った。

 いい気なもんだ。 僕がこんな風になったのもこいつらのせいなのに…。


 コートは空いていた。 優はボールを一度床に弾ませてからシュートの体制に入った。きれいなフォームから放たれたボールは少し高めの軌道を描いて真っ直ぐにゴールへ落下した。 シュートと同時にゴール下へ走っていた優は落下したバールをキャッツすると、僕に向かってパスを出した。 ずしりと重たいボールの感触。 受験勉強を始めてからはほとんど触っていなかったボールの感触…。 僕は車いすに座ったままゴールに向かってボールを投げた。 そのボールはゴールのリングにも触れることなく真ん中からゴールに吸い込まれネットを揺らした。 一瞬、鬱蒼と僕の心を支配していた暗い気持ちが晴れたような気がした。

 ゴール下でボールをキャッチした優が親指を突き出しウインクして見せた。 遥が僕の後ろで飛び上がって喜んでいる。 だけど、僕は騙されない…。 騙されるもんか…。



これはリレー小説です。

リレー小説とは、複数の著者様による合同執筆(合作)の事をいいます。

前回同様、執筆して頂ける著者様は、事前にご一報、そして投稿後にご一報ください。

よろしくお願いいたします。

ちなみに、次回第3話はふぇにもーる先生の執筆が決まっています。

第4話以降参加して頂ける方、聖魔光闇先生までご一報願います。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで来たら徹底的にダーク展開しちゃいましょう♪ というノリだけで復讐を更に広げていっちゃいました。 さぁ、この復讐はどこまでエスカレートするんでしょう……。
[一言] 考えさせられるストーリーですね。 こうなったらどうなるかなあとか、いろいろ考えて読んでます。 彼女が今後どのように主人公に関わって行くのかな。楽しみですね。
2011/05/13 14:33 退会済み
管理
[一言] 沈黙の間が長ければ長い程、心の闇は増幅し、僅かに残る良心すらも喰い尽くす。 智哉の心に根付いた闇は、既にこれ程大きくなっていたのですね。 実際の話ですが、健常者が障がい者になった時、その…
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