第27話 冒頭三行で読者をつかめ!
こんにちは、雨宮 徹です。本作では、一般的な創作論を書きつつも、私のオリジナルを混ぜて唯一無二の創作論集を目指します。第二十七回は「読者の心を掴む冒頭三行について」です。今回はWeb小説を書く方を読者に想定しています。
■Web小説は冒頭三行が命
Web小説は第一話が大事。これは前回、書きました。さらに突き詰めると「冒頭三行が命」となります。今回は、具体例を交えて目指すべき冒頭三行を提示できればと思います。
■異世界ファンタジー
例1
今日は朝からいい天気だった。
俺はのんびりとベッドから起き上がる。
普段と変わらない日常が、そこにあった。
これは絶対にダメです。一行目を読んだ瞬間、閉じられます。極端な例を出してみました。
例2
朝、俺は空から降ってきた謎の光に包まれた。
気がつくと、見知らぬ森の中に倒れていた。
ここがどこなのかも、自分が誰なのかも分からない。
「異世界転移」「記憶喪失」はテンプレではありますが個性が弱いです。より正確に言うならば、次を読む理由がちょっと弱いです。
例3
目が覚めたら、俺はスライムだった。
しかも、目の前には自分の死体が転がっている。
――俺は、自分を殺した犯人を、この姿で探すしかないらしい。
一行目でグッと読者の心を掴み、二行目で謎を提示。三行目で何をする小説かを提示。これがベストです。人によっては、さらに読者の心を鷲掴みできる三行を書けるでしょう。
■日常の謎ミステリー
例1
「ねえ、聞いた?」
東雲さんが話しかけてきた。
俺は曖昧に頷いた。
これでは、何を聞かれたのか不明です。極端にダメな例を出しました。
例2
「深海生物って、ロマンあるよね」
隣の東雲さんが、ぼんやり窓の外を見ながら言った。
俺は、何の話だよ、と思った。
深海生物という気になるワードが出たことで、読者を引きとめることができるかもしれません。ただ、その後が弱いです。
例3
「『深海生物観察部』って知ってる?」
隣の席の東雲さんが、突然そんな部活の名前を出してきた。
……いや、あるわけないでしょ、中学校にそんなの。
例2と同じく、深海生物というワードが出てきます。しかし、こちらは「部活の話だよ」と明示することで、「そんな部活あるか?」と、より読者を引きとめる力が増しています。また、例2よりも、三行目のツッコミの部分が強化されています。
このように、ブラウザバックされないためには「読者に疑問と期待を植え付ける三行」が必要なわけです。難しいですが、実行できれば読まれる確率がグッと上がります。この「三行理論」を実践してみてはいかがでしょうか。
■備考欄:冒頭三行。
それは、私があなたをこのページに繋ぎ止めるために用意した、最短の処刑台です。
一行目で、あなたの好奇心を吊り上げ。
二行目で、あなたの日常を切り離し。
三行目で、あなたの意識を私の物語(奈落)へ突き落とす。
あなたは今、例3の『自分を殺した犯人を探すスライム』を想像しましたね?
その瞬間、あなたの脳の一部は、私の記述したイメージに上書きされました。
私が三行書くたびに、あなたの自由な思考は少しずつ削り取られ、私の『三行理論』という檻の中に整理されていく。ほら、この備考欄も三行ずつの塊に見えてきませんか?




