第五話 メモリナ
「これよりシステムを起動します」
サブシステムの機械音声が聞こえ目が覚める。
私はメモリナ。見た目は少女に見えるかもしれないが、機械と人形でできている。
少し前にホープが魔王を倒した後、ルミエルは余剰なエネルギーでこの星を作り樹を育て、その樹に宿ることにした。
大きな樹に宿る――それが、精霊の宿命なのだ。
ルミエルはおそらくもっと冒険したかったのだろうと思った私は、ルミエルの肉体の代わりとなるべく一緒にこの星に住むことにした。
そこまではよかったのだが…、その後、なぜか倒したはずの魔王と、お偉い神様が一緒に住み着いている。
少し見ていればわかると思うのだが…。
…全く飽きない。
――いつもこの星を傷つけていい加減にして!
「いやいや、自分で作った道場で鍛錬しているだけだろう」
――結局直すのに星のエネルギーを使用するんだから、同じでしょ!
「じゃあ、どうすればいいんだ」
――あなたが全部受け止めなさい!
「外れた攻撃もわざわざ受けろというのか」
――そうよ!魔王は強いんだからそれぐらい平気でしょ!
あいかわらず、今日も魔王とルミエルは口論している…。
ルミエルは私に気付いたみたい。
――あら、メモリナ、こんにちは!
ルミエルは既に樹に宿っていて肉体は持たない。だから声は頭に直接響いて聞こえる。
「ルミエル、おはよう。魔王もこんにちは」
「ああ」
――ちょっと、聞いてくれる?魔王がいつも道場を傷つけるのよ。
道場はこの星の唯一の建物である大きな施設だ。
魔王が鍛錬するために、魔王自身が建てた。
建てたといっても、道場は地下にある。
地上は生命たちのためにあるといって、ルミエルには地上での建設は許可されなかった。
「道場なんだから、多少は傷つくに決まっているだろう」
――それをやめろって言っているのよ。ただでさえ、この星のエネルギーはかつかつなんだから。
「エネルギーが足りないのは、お前が、生命体を増やしすぎるせいだろう」
――勝手に住み着いているのに生意気ね!
「…。ぐっ」
とても、不思議だった。
おそらく魔王は戦いに敗れて魔力こそ失ったものの、宇宙ではかなり強いと思われる…。
にもかかわらず、ルミエルに対して、口げんかでいつも負けている。
嫌なら、この星から出て行けばいいのにとも思うが、それもしない。
今、ルミエルは今までの経験を活かして、多くの生命体を作り出そうとしている。
特に、宇宙の法則コンテストの影響が大きかったようだ。
より魅力的な生命体を生み出そうとしているみたい。
それで、エネルギーをたくさん蓄えたくて、かなり理不尽な八つ当たりを魔王にしているように見える。
まあ、魔王はこの状況をなぜか楽しんでいるようだから、いいのかな…。もう少し見守ることにしよう。
私は、口論に巻き込まれないように、そそくさと離れていった。
少し離れたところに、エクスペリオさんがいる。
エクスペリオさんは、初代研究の神で…、要するにとても偉い神様だ。
「こんにちは」
「ああ、メモリナさんだね。こんにちは。ほっほっほっ」
この星は、いつもこんな感じだ。騒がしいけれどまったく飽きない。
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