第二十八話 ルミエルの企み
道場では魔王がずっと修行をしている。いつもの物音がさっきから聞こえている。
そんな中、ルミエルは次第にたまってきたエネルギーで、新しく星を作っていた。
今回の修行だけで随分多くのエネルギーがたまったみたいだ。私はルミエルに話しかけた。
「ホープが連れてきた悪魔、たくさんエネルギーをため込んでいたみたいね」
――あら、メモリナ。そうね、おかげで星がここまで大きくなったわ。後は太陽にするだけね。
ルミエルは、ホープとの会話からヒントを得て、太陽を作ろうとしていたようだ。
確かに太陽があると、生命たちにエネルギーを配るのがとても楽になる。
そろそろ、魔王たちが戻ってくるかもしれない。
道場からの大きな音が終わったと同時に、「オスッ」といういつもの締めの挨拶が聞こえてきた。
――あっ、ホープもいたのね。見学してたのかしら。
「うん。特訓の様子を見てた。それより魔王を貸して頂いてありがとう。とても助かった」
――いいええ、それより、また似たような悪魔がいたら教えてね。ヴァルちゃん好きに使っていいからね。
「ふふふ。じゃ、またくるね。メモリナもまたね」
ホープは軽く挨拶すると、すぐに帰っていった。
途中参加の神様も戻ってきた。ルミエルはささやかな回復魔法を神様にかける。
――あら、少し凛々しくなったんじゃない。またきてね。
ルミエルの言葉にまんざらでもない様子で、神様は満足そうに帰っていった。
あの神様はもう何回も来ている。多分、ルミエルの声を聞きに来ているのだろう…。
そして、この星の養分とされていることに気付いていない…、これは確信している。
魔王は悪魔に話しかけているようだ。
「だいぶ鍛えられたんじゃないか」
「はい!ありがとうございます」
「また、魔力がたまったら来るといい。それまでしっかり魔力をため込んで置けよ」
「はい、ではまた!」
随分真面目な悪魔だ。悪魔は、魔王に魔界の位置を教えられて、その方角へはきはきと帰っていった。
「ちゃんと道場を傷つけずに戦ったぞ。これでいいのだろう」
――あ、ヴァルちゃん。まぁ、魔王にしては頑張ったんじゃない。お疲れ様。
ルミエルは魔王に素っ気なく返事をする。
――それより、太陽にしたいんだから、もっと頑張ってよね。
「太陽になったら、後は神様がエネルギーを勝手に追加してくれるんだよな。
そうしたら、自分はお役御免だな」
――そんなわけないじゃない。私は、神様に頼らない自立した星系を作りたいの。
だから、ヴァルちゃんにはこれからも働いてもらうわよ、とルミエルは息巻いていた。
魔王は“なんなんだあの態度は”と少し不服そうに、エクスペリオのもとへ行き、早速地球の様子を一緒に見始めたようだ。
ホープの手を煩わすことはしないと、ルミエルは考えているみたいだった。
うん。やっぱりこの星…、変な星だ。
第五章 神様のお仕事 完
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