第二十六話 悪魔と神様
「よろしい。では、まずは君らで戦ってもらおうか」
魔王が新しく訪れた神様と悪魔に語り掛ける。
「オスッ」神様が律儀に大きな声で答える。悪魔は嫌そうに頷いている。
神様は礼儀正しく、悪魔はまだ怠惰なままのようだ。
そして、悪魔と神様が一対一で戦い始めた。
この戦いも不思議だった。
悪魔は、いくら小さくなったとはいえ、まだ神様より大きな魔王の2倍はある。
おそらく、どんなに神様が強かったとしても悪魔が勝つだろうと思っていた。
最初のうちは悪魔もそう思っていたに違いない、雑に戦っていたように感じられた。
でも、神様の方が圧倒的に強者だった。
基本的に悪魔の攻撃を受けきって、時々隙をついて反撃を与えていた。
弱者をいたぶるようなことはせず、正しく指導するよう戦っているように思える。
この道場に訪れるような神様は、相当な訓練を積んでいるのかもしれない。
だけど…、不思議な点はそんなことじゃなかった。
やっぱり、魔王がすべての攻撃を受けていた。
例えば、悪魔がエネルギー弾を飛ばすじゃない。それを神様が避ける。すると避けられた球は、なぜか魔王に当たる。
神様がエネルギー弾をはじいた場合とか、特に面白い。
はじき返したその先になぜか魔王が現れるのだ。
普通、戦っていたら、戦っている対象に目がいくと思うのだけれど、私ははじかれたり交わされたエネルギー弾の行方を追っている。
よくもまぁ、不規則にはじかれたエネルギー弾を全て受けきることができるものだ…。
私は少し感心していた。
あまりにも当たらない悪魔がしびれを切らして、一斉にエネルギー弾を投げた時とか特に面白かった。
神様が華麗に交わした先で、魔王が全て受け止めているのだ…。私はくすりと笑ってしまう。
次々と繰り出されるエネルギー弾、サッ、サッ、サッと次々と華麗にかわす神様。
そしてガッ、ガッ、ガッっと次々と被弾する魔王。やっぱり何かが可笑しい。
こんなに不思議な戦い…、面白い戦い…、初めて見たかも…。
魔王ってやっぱり変なのね。きっと痛みが快感なのね。きっともっと痛みを欲しがっているんだわ。
だから一緒に戦わせてたくさんエネルギー弾を撃ってもらって、それを喜んで受けているんだわ。
地球の文明にも確かそういうのあったわね…。
地球の言葉でなんていうんだっけ…。確か…、そうM。
魔王はMだったのね。
私は納得できる答えがでてきて、とてもすっきりした気持ちになった。
悪魔も神様に勝つために真剣になっている。初めこの道場に訪れた時とは比べ物にならないぐらい、悪魔らしい格好になっている。
すでに、神様と悪魔は同じぐらいの大きさだ。おそらく、これぐらいが怠惰な悪魔の、元のサイズなのだろう。
「よろしい。やめ」
魔王が、声をかけた。
「よし、最後は…」
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




