第十八話 精霊の悲しみ
私は、神様の言葉を無視して少女を起こした事によって生まれたこの悲劇を、直視できないでいた…。
でも、もう過ぎてしまったことだ。しっかり見つめなければならない…。
私のせいで起こってしまった結果なのだから…。
村には雪が降っていた。その白い雪が村の火を消したのかもしれない。村の火は消えていた。
焼け跡となってしまった村には、少しずつ退避していた人々が戻ってきていた。
辺り一面、雪がうっすらと積もっていた。城への道に足跡と少女を引きずった後が残っている。
少女も男妖精も満足して疲れ果てて眠っていたところを、女妖精が城へ連れ帰ったようだ。
耳を澄ますと、城からは悲しみの歌声が聞こえてくる。その歌声が冬を呼び込んでいるような気がした。
「ああ、また起こってしまったか…」
村の長老だろうか、お年寄りが語っていた。
どうやら、以前も起きた事らしい。
おそらく、昔貧困により捨てられた女の子が仕返しとして、村を燃やしに来たのだろうと言っていた。
「こればかりは仕方ない。なあに、次の春まで、少しだけひもじい思いをするだけさ」
人々は、やらないといけない事を分担して、予定を立てていた。
比較的元気な若者が、臨時の寝る場所の確保と、食料の確保を率先して進めている。
その前向きな気持ちが、私の心につきささっていた。
本当であれば、もっと豊かに暮らせたのに…。私のせいで起こった事なのに…。
私は神に問いかけた。
「なんでこんなことになったの?私が、悪かったの?神様のいう事を聞かなかったから?」
――いいえ。あなたは悪くありません。あなたは、少女を助けたかったのでしょう。その心に偽りはないでしょう。
神様は“私は悪くない”と言った…。でも全然納得なんてできなかった…。
「神様は、なんで“やめておきなさい”って言ったの?こうなることを知っていたの?」
――いいえ、私でもそれは知らなかった。ただ、寝かせておきたいという意思が感じられただけです。
私は深く落ち込んでいた。だんだん周囲の音が小さくなっていくように感じられる。
“私は、どの生命にも中立な観察の神。特定の生命にだけ利があるような行動はできない”そんな神様の言葉がうっすらと聞き取れた。
私は次第にぼんやりし始めた。
神様が私に何か言っているが、意識が遠くはっきりとは聞き取れない。
ただ、神様の、あなたは悪くない、あなたにはあなたの役割があるという言葉が、私の心に残っていた。
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