第十六話 男妖精の喜び
この様子を見ていた男妖精はとても興奮していた。
す・ば・ら・し・い!素晴らしい!
私はずっと退屈していた。
この星はなんて退屈なんだ。
寿命の長い妖精にとって、一年中がほとんど冬のこの星は、たった一年で見飽きてしまった。
いつみても変わり映えのしない景色。どこ見てもただ凍り付いただけの星。
どの生命体も、ただ寒さをしのぐだけの変わらない日々。
私にはずっとうんざりするほど退屈だった。
しかし、この少女がそれを一瞬で変えてくれた!
初めて見た時から私は、この女の子に恋をしていた。
見るもの全てに感動し、大げさに表現をする。
何を見てもきゃっきゃ、きゃっきゃと喜び、手を振り回す。
それからすぐに、時に跳ね、時にくるりと回り、時に踊り、時に舞うようになる。
まだ幼く動きはぎこちなかったが、精いっぱいにこの世界の喜びを表現する。
私はすぐにこの女の子の虜になった。
この子の欲しがっている物はなんでも与えた。
この子は与えたもの全てを喜んだ。その喜びをさらに表現した。
独特の感性で踊りで表現し、舞に変え、見るもの全てを魅了した。
少女の舞だけでは、少し不足していた。
演出が不足していると思ったのだ。
不足していた物は、その後すぐに分かった。
少女は寒がっていた。炎を見せた。
やはりとても喜んだ。
それがうれしくて、指先から炎が出るようにした。
不足している演出は炎だった。
これで、舞はもっともっと輝かしいものになるはずだ。
少女は周囲を燃やし、炎と共に華麗に舞った。
少女の舞いに炎も合わせて踊り炎はさらに広がっていく。
満面の笑みでまわりを巻き込み、世界を魅了していく。
さらにこの少女が素晴らしいのは、周囲に愛されていると思い込んでいる事だ!
どんなに嫌な顔されようとも、少女にはそれが笑顔に見えている!
独特のセンスは理解されない。えてしてそんなものだ。
芸術なんて現実を生きる人間どもには、理解されないのだ。
芸術の表現に、周囲の理解なんて不要だ。
現実の人間どもには理解されなくていい。
この世界の芸術を表現できればそれでいい。
どうだ。人間どもよ。
この世界は、炎に包まれている。
とても魅力的な星に生まれ変わっただろう!
これこそが、少女にとっての理想の星なのだ。
もう寒さなんて感じないだろう!
さあ、少女よ、もっと舞え!
私をこの星の退屈から解放してくれ!
必要ならもっと力を与えよう!
もっと炎で焼き尽くしてしまえ!
ああ、素晴らしい。この星はなんと美しいのだ!
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




