第十五話 少女の舞
少女は橋を渡り、村へたどり着いた。
村の広場では、冬の前に最後の屋台が並んでいる。
お腹を空かせていた少女は、早速、屋台のリンゴのお菓子に目を付けた。
「これおいしそう!これくださいな」
「あら、見ない顔だね。どうせもうほとんど売れないし、持っていきな」
「わあ、ありがとう」
少女は早速お菓子を口にした。とても甘くておいしい。でも、ちょっと冷たい…。
少女は、お菓子を温めようと手をかざす。男妖精はそれを見て、お菓子に少し火をつけた。
「あら、手品かい。寒い季節だし。ちょうどいいね」
少女は温めたお菓子を頬張った。温かさでより甘味が感じられ、なによりこの寒い季節、温かさが一番だ。
それに、店のおばさんが笑顔で喜んでいた。少女はとてもうれしくなった。
「もっと暖かい方がいいよね」
「んっ?ああ、そうだね」
少女は、おばさんの頷きにさらにうれしくなって、手のひらを見せた。男妖精は、手のひらに赤い炎を出す。
「手品、お上手ね」おばさんは不思議な暖かさに、にっこりと笑顔を浮かべた。
「もっと、暖かくしてあげる」
少女は近くの地面に右手をかざすと、赤い炎が上がった。
一つの炎では少し寂しそう、今度は左手をかざすと、青い炎が上がる。
青い炎は、赤い炎の高さに追いつこうとらせん状に回りながら、周囲を焼き尽くしていた。
少女は厳かに両手を高く上げると、手の動きと同時に一気に赤と青の炎は燃え上がった。
そして、青の炎が赤の炎の高さに追いつくと、一つになって爆発し、炎が飛び散った。
「きれい!」
少女はこの様子に目を輝かせた。
飛び散った赤と青の炎を組にして、足りなければ手をかざし追加して、また両手を上げて爆発させる。
少女は思うがままに、一連の行動を繰り返した。
まるで、青い炎が赤い炎に恋をする、炎の舞だ。
青い炎は赤い炎を喜ばせようと周囲を巻き込んで、やがて結ばれて爆発し、炎をまき散らす。
そして、新しい炎たちもまた同じように相手を見つけ結ばれていく。
少女は華麗に舞って、その炎たちの恋のお手伝いをしていた。
「もっと、もっと喜ばせたい!」
少女は、広場の広さを利用して、より大きな動きで舞い踊った。
右に動いては右手をかかげ、左に動いては左手をかかげ、時にくるりと回り、時に両手を高く上げる。
より美しく、より優雅に、より優美に。少女の舞はとても魅力的だった。
「わあ。あったかーい。村の人たちも皆、喜んでるみたい!」
あっという間に、炎は村に美しく燃え広がって、赤と青の幻想的な世界を作り出していた。
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




