第十四話 氷の城
氷の城への道を歩いている。
村外れには、川が流れており、石橋がかかっていた。
夏場は馬車も通るのだろう、とても頑丈そうだ。
その橋を越えたあたりから、急に肌寒くなってきた。
道が徐々に雪の道へと変わっていく。
一歩一歩ゆっくりと山のふもとまで歩き、ついに氷の城にたどり着いた。
氷の城は、少し小さめではあるが、細部までこだわって作られていた。
氷だけで作られているようで、氷特有の白さが美しいと感じさせる。
近づくと一段と寒さを感じる気がした。
表面はザラザラの曇っている氷で作られているが、一部ガラスのように透明な氷でできていて窓の役割を持っているみたいだ。
大きな門の横に呼び鈴がついていたので、鳴らすことにした。
しばらく待っていると、門が開き、女の妖精が現れた。
「こんにちは!」と声をかけたが、女妖精は黙って首を横に振り、扉を閉めた。
せっかくここまで来たのだからと、近くの窓から中を覗き込む。
ベッドの上で、少女と男の妖精が眠っているのが見えた。
さっきの女妖精は、そのそばで、何か歌っているみたい。
静かに耳を澄ますと、かすかに女妖精の子守歌が聞こえてきた。
美しい透き通った歌声だ。
「他にも誰かいるのかな…」
精霊は浮くことができる。いろんな窓から、城の内部の様子を探ったが、他には誰もいないようだった。
くまなく窓を探していたせいか、結構な時間が経っていたはずだったが、まだ二人は寝かされていた。
その日は一旦、城の調査を終えて、村の様子を眺めながら過ごすことにした。
次の日の朝、また城の様子を確認する。まだ二人は眠っていた。
精霊は神様に聞いてみた。
「神様。ねぇ、まだ、冬眠には少しはやいよね。少女を起こしてあげてもいいかな」
――やめておきなさい。
「えっ。なんで」
――寝かせておきたい理由があるみたい。
神様が、精霊の行動を否定するのは珍しかった。
今までは、どんなことでも頷いてくれたのに…。
少女と男妖精はお昼になっても目を覚まさなかった。
精霊は、やっぱり我慢できなくなって、女妖精の隙を見て起こすことにした。
ちょうど、女妖精が立ち去った時に、扉を「よいしょ、よいしょ」と開けて、少女に声をかけた。
「おはよう!」
少女が目を覚ましたようだ。ふぁ~と起き上がる。同時に男妖精も動き出した。
少女は、「おなかが減った」とつぶやいて、立ち上がり城の外へと出ていった。
女妖精にはまだ気づかれていないようだ。
精霊は、思い通りになって安心したと同時に、少女の軽やかな様子を見て喜んだ。
色白でとてもかわいらしい少女だった。
少女が少し寒そうにすると、男妖精はすぐに毛皮のコートを用意して少女に着せてあげた。
少女は心軽やかに、今にも踊るようにして、男妖精を連れて村へと向かっていった。
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