第20話 諸悪の根源?みたいな
<第20話>
俺たちは、持ってきた果物などをここで下ろすことになり、アーレンの指示で壁の前に積み上げると。
壁が自動的に動き始めその品々を取り込んでいく。
そして空の容器が排出され、これで納品が終わったらしい。
「お金とかそういうの交換ないん?エネルギーとかいってなかった?」
「ここに納品すると、ヤギ足さんたちの村にマルーが自動的に追加されるから大丈夫です」
「?遠隔で確認してるのか?」
「ネットでお買い物したようなものです。リアルで商品は動くけどお金はオンラインですよね」
なんとなくお金を持って集落まで戻らないといけないのか、と思ってたけどそれがないなら楽である。
しかし、そうなるとこれから何をすればいいのか?
「彼らの知的な仕事ぶりとか見にいったらどうです?多分楽しめるでしょうし」
「知的、なのか?」
「これからこの街に少し滞在しますから、色々見えますよ」
ということで、宿らしきところに案内されて宿泊するわけだが
俺の知識的には自動チェックイン装置、自動で全ての手続きを行なってくれるような機材が備えており、名前の入力すら省かれている。
さっきアーレンが持っていたキューブからの情報で全て確認しているらしい。
別人が持ったとしても半非物質的な遺伝子的なものがあるらしく、その形が合わないと異常が検知されるらしい。
なんかハイテク
そして、宿は普通に個室形式で基本がしっぽのある爬虫類系を基準にしてるせいか広々。
中央に巨大な柱があり、それを囲むように円形に配置されてバスルームやらトイレやらがある。
そしてプライベートもしっかりある作りでコンクリのような人工的な石材のようなもので作られており、ガラスも窓もしっかり存在している。
寝るところはハンモックのようなものを中央の柱から壁へと吊るし、そこに入り込んで寝るらしいのだが、これが部屋に人数分用意されている。
今回はアーレンと同じ部屋になっているが、特に前の集落のような「プライベートがない」ということはない。
早速ハンモックを吊るして入ってみたが、なかなか快適である。
その後街へと出てみると、全てにおいて自動化がされており、見た目よりかなり文明が発達しているのが見えてくる。
そして、食べているのが謎肉だ。
謎肉というか、合成されたキューブ上の肉っぽい何か、という感じで合成タンパク質とでも言ったほうがいいのか。大豆肉より肉っぽいが、肉ではない。
それらを、色々と加工したり他の食材と合わせて食べたりと、調理のようなこを多少してる気配がある。
ヤギ足の集落に比べると食事にバリエーションがあるのでまだいい感じだが。
俺たちも謎肉を炒めてサラダにのっけたものを頂いたが、美味かった。
食事するところも、ちゃんと店のようになっていて殺風景な刑務所な感じではない。
食事は基本的に無料で提供されているが、調理するのが「好きな人」が勝手に店のようにして味を変えて提供してるという感じ。
お金を稼ぐために、食べるために働くのではなく、やりたい事をやってみるために働くという感じで大変羨ましい感じだ。
我が国も、こんな感じだとありがたいがなー
と思うも、今は俺は日本ではなくメガラニカにいるのだ。そんなこと考えてもしょうがない。
交通網も発達しており、路面電車のようなものが地上を走っていて、それに乗って移動することが多いようだ。個人が持つ車のようなものは存在せず、歩くか公共交通機関に乗るか。
でも、その公共交通機関が発達してるので、自分で何か乗り物を維持することはしないのであろう。
自転車っぽいのとかしっぽ邪魔で乗れそうにないしね。
それら複雑な仕組みを管理してる人たちがおり、それらも「趣味でやってる」のだからすごいものである。
ベーシックインカムが広まった世界という感じだろうか。
あくせく働くのではなく、好きなことやって好きに生きるために働くようで。
なんて羨ましいところなのだ
とひたすらそれを思うばかり。
そして、ここではあの砂漠の様子を監視しており、機動歩兵の動きを全て把握しているらしい。
監視施設のようなものがレーダーのようなものを使ってあれらの動きを観測してるらしく。
その情報は共有され、ヤギ足の集落へと伝えられるという。
その情報を元に、ヤギ足の彼らは機動歩兵を狩、生活に役立てているということだ。
そして、機動歩兵はヤギ足たちに止められ、爬虫類のコミュニティにはやってこない。
そして機動歩兵以外にも、機動スライサーというものが飛んでいるらしく、機動歩兵が地面を均した後にやってくる空中を飛ぶやつがあるらしい。
その動きや予報などを立てているとこがあり、その情報は随時街のモニターや携帯の端末にて確認できる。
俺たちはここの住人ではないので端末は持ってないが、街中のモニターでそれらの動きを観察できるのが「台風情報みたいだ」と思ってしまったところ。
全てこの街に来ないように、彼らヤギ足の人たちが頑張っているらし。
で、そうやって守るだけではなく、機動歩兵を退治したヤギ足の村には トカゲ人間から「設計図が」与えられ、生活に使う資材などを機動歩兵をバラして作る方法が書いてある。
機動歩兵の監視が爬虫類系、実際に動くほうがヤギ足以外にも哺乳類系の猿っぽいのとか虎人っぽいのとか色々な種類の村があるらしく、それらとのつながりも全体的に監視しているらしい。
なので、この街にいると虎が直立してるような虎人とか、人間っぽいけど手足が毛むくじゃらの猿人とか見かけることがあった。
その中でも、ヤギ足人は自分がお世話になった村以外にも多くいるようで、結構見かける機会が多かった、それだけ繁殖力が強いのかもしれないが。
で、その機動歩兵がやってくる予報のモニターを見ていると、何か上の方1箇所から全てが出てきてるのが見て取れる。
メガラニカ大陸の一部から、この機動歩兵とかが次々姿を表すようになっているのだ。
そこから始まり、各地へと向かって移動してる感じ。
最初に機動歩兵、そして機動スライサーというものが付いてくるらしいが。
これがよくわからなかったのでモニターをクリックすると、解説を見ることができた。
なんて便利な。
イオンとかにあるような会場案内より反応が早くて使いやすいぞ。
この機動スライサーはその名の通り全てをスライスしていくらしい。
機動歩兵は全高20m、全幅10mくらいのドラム缶に手足がついたような形でどう見ても歩けないスタイルをしているが、謎の力によって重力を減らして動いてるとかなんとか書いてある。
機動スライサーは5mほどらしいが周囲には回転する鋭い刃が並び、真下に入ると超音波で粉砕されてしまうという、ある部分では機動歩兵よりも恐ろしい感じだ。
これらは「役に立たなくなったものたち」を狩るらしく、機動歩兵を倒せなくなった村のもの違が優先的に狩られているという情報が書いてある。
倒せなくなったもの?
ちょっと考え込んでいると横からアーレンが
「ヤギ足の村には老人がいなかったでしょ?これに狩られてしまったのよ」
「他の連中が倒して追い払ったりしないのか?」
「やってくる時期がわかるなら対策はできるでしょうけど、爬虫類人がそれを見つけて知らせる前にはもう村に来てるでしょうから」
「さっきのヤギ足たちの村にも現れるのかこれ?」
「機動歩兵をあっさり倒す集落には現れないようです。少し手間取ったり、老人が前線に出てるのが確認されたらサクッと現れるみたいですけど」
とアーレンは自分の耳をその辺にあった端末にくっつけて情報を探っている。あの耳は万能ハッキングマシーンにもなるのか。
「気づかないうちにやってきて、老人を消して回るとか恐ろしい機械だな」
「私たちには関係ないですから、大丈夫です」
「しかし、このモニター見るとあの1箇所から出てきてるから、あれを叩けばもう機動歩兵とかに脅かされる心配ないのでは?」
「と思うでしょう?しかし彼らはまだ「反抗する感覚」を持ってないから抵抗できないのですよ。台風が毎年来てるけど、台風を倒そうとか考えないでしょ?
それと同じ感覚になってるということね」
「でも、起動歩兵倒してたじゃん」
「気持ちの問題よ。ただ、それについては起動歩兵を送り出してる側の意図もあるんだけど」
「意図?」
「次はあっちに行ってみましょうか?どうやら私たちが行っても問題なさそうなので」
「?それって敵の本拠地に行くってことでは?」
「敵?敵じゃないですよ。ただの災害発生地点みたいなものです」
「その辺の価値観がよくわからんな」
「イチロさんは全体を見る目があるから見えてきますけど、それを持ってない種族、平和な思考の人たちからすると逃げるか守るか耐えるしか選択肢がないんです。
戦って打ち勝つ、は次の段階になりますから」
「この大陸の人、というか獣人というか。彼らは起動歩兵を倒せるのに、その元を倒す気がないのか」
「生きる糧にもなってるでしょ?だから積極的に滅ぼしに行く気がないのでしょう」
「で、その争う、戦う意識をつけさせようと、起動歩兵とか送り出してる輩がいると」
「簡単に言うとそうですね。
いつになったら攻めてくるのか、とか待ってる感じがありますね」
「その、変なこと考えてる奴らのところに、これから行くのか」
「ええ」
「サイコパスっぽい博士とかじゃないのか?」
「心配しなくても私たちはここの住人ではないので大丈夫です。
むしろさっさとその辺見てから早く戻りたいです。今ここにいるのは上司のエーテル体操作でこちらに私たちの意識が投影されてるだけですからね」
「あまり長居しないほうがいいと」
「楽しいならいてもいいですけど」
しかし、あまり長引くと現実の世界で俺の仕事に影響出たりしそうだしな。
アーレンの提案に乗ることにしよう。




